<阪神5-1巨人(11日)>虎の安打製造機に力強い“新機能”が加わった。阪神・マートンが11日の巨人戦(甲子園)で勝負を決める5号3ランを叩き出した。

 息詰まる投手戦で緊迫感に包まれた甲子園球場の空気を一振りで変えた。6回二死一、二塁。ここまで阪神・メッセンジャー、巨人・杉内の両先発が一歩も譲らない投げ合いを展開していた。均衡が破れる気配すらないまま終盤を迎えようとした時だった。

 マートンが球速135キロの直球を逆らわずに右方向にはじき返した打球は右翼ポール際のスタンドに突き刺さった。「打てる球を逃さずに捉えることができて良かった」。会心の一打をこう振り返ったマートンだが、右方向の打球をファウルにならないよう一直線にスタンドまで飛ばす技術は、在籍4年で3度の最多安打のタイトルを獲得した安打製造機ならではのものだ。

 しかも、今季は13試合目で早くも25打点と安打だけではなく打点もハイペースで伸ばしている。「もっと安定した打撃ができるよう、オフに下半身を重点的に鍛えたんだ」。バットコントロールには定評があった安打製造機が、下半身をパワーアップすることで大幅にレベルアップしてシーズンに臨んでいた。その成果がキッチリと数字に表れている。打率4割7分9厘、5本塁打、25打点と打撃主要3部門ですべてトップだ。

 開幕から投手陣に不調でマートンの打撃がなかなか勝利に結びつかなかったが、この日はメッセンジャーが8回1失点の熱投で今季初勝利。本拠地での伝統の一戦の初戦を制し、今季初めて貯金もできた。ともに来日5年目となる助っ人コンビが、大黒柱として和田阪神を引っ張る。