巨人の大黒柱はもはや“限界”なのか――。5日の中日戦で左足ふくらはぎに死球を受けた阿部慎之助捕手(35)の登録抹消は見送られたが患部の状態は思わしくなく、回復までにはまだ時間を要する見込み。そうでなくとも近年傷が絶えない主将だけに、その周囲は徐々に騒がしくなってきている。

 今季の阿部は、とにかくケガに泣かされている。今回痛めた左足ふくらはぎは、2月22日のDeNA戦で守備の際に内海の投球が当たったのと同じ箇所。そのときも患部が大きく腫れ、回復に時間がかかった。また開幕直前には首の痛みで離脱。詳しい検査結果は公表されていないが、万全ではない中で開幕を迎えていた。

 過去に肩や腰、ヒザなど数々の故障を経験してきた主将だが、ここ数年はその頻度に拍車がかかった感がある。2011年には右ふくらはぎの肉離れ、12年には両足首痛に悩まされながら出場を続け、昨季はそれに加えて終盤に帯状疱疹も発症。慢性的に抱える爆弾は数え切れない。

 そんな満身創痍の主将だけに、球団も数年前から真剣に阿部の今後を考え始めたが、最近では同僚ナインの間からも「あれだけ故障がちだと捕手を続けるのは厳しい。選手生命にかかわるケガをする前に、早く一塁に転向したほうがいい」との声も上がっている。

 原監督がルーキーの小林を積極起用しているのも“ポスト阿部”を早期育成する必要性に迫られているから。実際、阿部が一塁守備に就いたのは昨季は5試合だけだったが、一昨年は21試合も守っている。今季はさらに増える見通しで、チーム内では「監督は来年には慎之助を一塁へ回して、小林を正捕手に据えるつもりなんじゃないか」と真面目にささやかれている。

 ただ、仮に阿部の一塁転向プランが実行されれば、今季絶好調のロペスはいったいどこを守るのか。主力選手は「その場合は、ロペスの外野適性を試す可能性も十分考えられるでしょうね」と“玉突きコンバート”を予測した。

 故障を抱えているといっても、阿部は巨人の大黒柱。捕手続行か、それとも一塁転向か、今後のチーム編成方針も大きく動かす決断の時期が迫っている。