<中日4-3巨人(6日)>収穫の一敗だ。巨人は6日の中日戦(ナゴヤドーム)に3―4で敗れ、連勝が5で止まった。先発の大竹寛(30)は6回4失点で今季初黒星。阿部慎之助捕手(35)の負傷でプロ初スタメンとなったドラフト1位ルーキー・小林誠司捕手(24)もホロ苦デビューとなった。大黒柱不在の弱みをさらした格好だが、一方でライバル・中日に対して一矢報いる場面もあった。それは、アンダーソンの“ザル守備”イメージ払拭だ。

 4回に平田の2ラン、5回には一死満塁からルナに2点適時二塁打を献上。先制点を奪ったものの、大竹―小林の新戦力バッテリーは中日打線の反撃を止めることはできなかった。最終回に岩瀬を攻めたて1点差まで追い上げたが、反撃もそこまで。原監督は「3、4番に打たれたという部分では劣勢になるのはしょうがない」と話し、球場をあとにした。

 正妻の阿部が前日の試合で左足ふくらはぎに死球を受け、この日は球場にも姿を見せず治療に専念。ルーキーに経験を積ませるという意味ではいいチャンスになったが、なにかと駆け引きの多い中日相手に阿部、山口らチームの大黒柱が不在の場合の弱みを握られる試合となった。

 だが、チーム関係者は一様に「してやったり」の表情だった。というのも、アンダーソンが守備で魅了してくれたからだ。2月の沖縄・那覇キャンプ中に行われた練習試合では、平凡な左前打で一塁走者を楽々と三塁へ進ませるなど守備の不安を露呈。中日側から“ザル守備”を認定されてしまった。

 そんななか、この日は3番・左翼でスタメン出場。すると、3回に訪れた無死一塁の場面でランエンドヒットがかかり、堂上直の放った打球は左前へ。当たりもよく、左翼手正面に飛んだゴロだったが、一塁走者・松井雅は迷わず三塁を狙ってきた。中日が“ザルダーソン”だと見限っていたからこそできた走塁だ。これに対しアンダーソンは三塁へストライク送球。間一髪ではあったが、見事に刺してみせた。

 その後は走者一塁での左前打で走者にストップがかかるようになり、7回一死二塁の場面ではルナの左前打でも二塁走者は本塁突入を自重した。一発お見舞いしたことで汚名返上することができたのだ。

 川相ヘッドコーチが「(走者を)先の塁に走らせないことが大事」と話すように、アンダーソンは大西コーチの指導のもと、チャージや取ってから送球までの動作を反復して練習。それが実を結び中日を黙らせることに成功した。

 助っ人の守備力アップには指揮官も「うん、うん」と満足げ。転んでもただでは起きないのが、日本一奪回を目指す巨人の抜け目なさだ。