巨人とDeNAに新たな遺恨勃発だ。3日の試合(横浜)は雨天中止となったが、その裏で出場選手登録をめぐりDeNA側が“ありえない失態”を犯したからだ。その後の対応も巨人の怒りの炎に油を注ぐもので、原辰徳監督(55)が露骨に不快感を表す事態にまで発展。この騒動、簡単には収まりそうもない。

 中畑監督が掲げる“せこいぜ!野球”も、今回ばかりは笑えない。前代未聞の騒動はこうして起こった。

 午後2時をすぎ、DeNAから「試合をやる方向」と聞かされた巨人は予告先発のセドンをセ・リーグに出場登録申請した。だが、ナイター時の連盟への登録締め切り時間である午後3時になっても、DeNAの予告先発投手・モスコーソは登録されていなかった。

 試合中止が正式決定したのは午後3時半だったが、折からの雨でそれ以前に中止は確実だったため、DeNAはモスコーソの登録を見送ろうとしたのだろう。だが、セからルール上は「中止を正式発表していないなら登録しないといけない」と指摘され、ようやく登録の手続きを取った。ちなみに巨人がDeNAから中止を知らされたのは午後3時5分で、登録の見送りや取り消しのリミットを過ぎてからだ。

 試合開始前の開催決定権は主催球団にある。巨人としては中止を午後3時前に知らせてくれていれば、セドンの登録を見送ることもできた。セの指摘でなんとなくの“痛み分け”となったが、巨人は納得できない。“意図的な嫌がらせ”と受け取るのも無理はなく、原監督は「胸と胸を突き合わせた勝負という点において登録する、しないというのは大事な部分。正々堂々と勝負をするのはスポーツの原点だ」と怒りをあらわにした。

 一方、後から姿を見せた中畑監督は「俺は全然聞いてない。(意図的かどうかも)分からない」と困惑の表情を浮かべて「レベルの低い話。野球で頑張ります!」と語って球場を去った。

 その後、DeNAは高田GMが事情説明を行った。だが「これはウチのミス」と意図的であったことを完全否定し「なんで巨人が怒るの? 巨人に(対して)ミスをしたわけじゃない」と開き直ったことで、巨人側の怒りは増幅。チーム関係者からは「こうなったら監督同士で話をつけてもらうしかない。中畑監督が原監督にヒザをついてでも謝ってもらうしか、事態を収める方法はないでしょう」と中畑監督の“土下座謝罪”を求める声まで上がった。

 仮に意図的でなかったとしても、プロのチームとしてありえないミスであることは確か。この程度のことに気づかないようでは「打倒巨人」どころか、9年ぶりのAクラス入りさえ難しそうだ。