<センバツ8日 新庄(広島)1-1桐生第一(群馬)=延長15回引き分け再試合=>

 粘りに粘って延長15回を戦い抜いたが、桐生第一との一戦は最後まで勝負はつかなかった。一人で投げ抜いた新庄のエース・山岡は「すごく疲れた。今は寝たい」。それでも今日30日の再試合について聞かれると力強く「投げます! 四球を出さず、リズムよくいきたい。今日のような試合ができれば」と目を輝かせた。


 先制したのは新庄だった。2回、死球と盗塁、相手の野選などで無死一、三塁とすると、田中啓がきっちりと犠飛を打ち上げた。山岡は、相手の福田監督が「前半は前と同じ配球パターンだったが中盤から変化球が多くなった。やっぱりうまいですよ」とうなる見事な投球で、虎の子の1点を7回まで守った。


 しかし8回に3安打を浴びて同点とされると、試合は延長戦に突入。山岡は10回二死二塁から右前打を許し「やばいと思った」と冷や汗を流した。右翼手の二角が好返球で得点を阻止。11回も二死一、三塁としたが、エースは盗塁を狙った一塁走者の動きを見逃さず、難を逃れた。


 堅い守りでピンチをしのぎ、その流れを攻撃につなげたいところだったが、新庄打線も桐生第一・山田の意地の投球を打ち崩せない。11回一死満塁も併殺打に打ち取られ、15回の二死二塁ではこの日チーム初安打を放った西島が打席に立ったが中飛に倒れた。西島は「前の打者が送りバントで回してくれたが、期待に応えられなかった」と肩を落とした。


 なかなか試合が動かずじりじりとした展開が続いた。それでも新庄ベンチには余裕があった。生きたのは昨夏の経験だ。昨夏の選手権県大会決勝。当時のエース・田口(現巨人)が瀬戸内相手に延長15回を投げて再試合に持ち込んだ。その試合をベンチから見守っていた山岡は「あの試合があったので、延長も緊張することなく、楽にいけた」と振り返った。


 田口からは大会出場が決まるとバッティング用のネットをプレゼントされ、初戦を終えた夜にはベンチ入りメンバーのもとに電話があり「次も頑張れよ」「応援してるからな」とエールを送られたという。先輩の気持ちに応えるためにも、今日30日の再試合では必ず桐生第一を破り、初の甲子園でベスト8初進出を決める。