<中日1-6広島(29日)>

 広島が見事な開幕2連勝を決めた。29日の中日戦(ナゴヤドーム)にはドラフト2位・九里亜蓮投手(22=亜細亜大)が先発し、6回5安打1失点の好投で、見事、プロ初登板初勝利を挙げた。

 ルーキー右腕が持ち味を存分に発揮して、プロ初の白星をつかみ取った。3回までは走者を背負いながらもなんとか踏ん張ると、4回からはリズムに乗って、竜打線を手玉にとった。結局6回を5安打1失点で12球団のルーキーの中で最も早く勝ち名乗りを上げた久里。球団では2011年の福井以来9人目となる初登板初勝利に「意識はしていなかったが、そうなれたのはうれしい」と喜びを爆発させた。


 本番直前に“原点”に立ち返ったのが吉と出た。これまでのオープン戦ではプロ仕様の投球フォームとしてノーワインドアップに取り組んできた。しかし、開幕前最後となる実戦だったソフトバンクとのオープン戦で4回8失点と大炎上。それを教訓に、この日は急きょ、セットポジションでの投球に変更していた。


 大事な試合を前に投球フォームを変更するのは勇気のいることだ。それでも九里は「ワインドアップで自分の悪いところが出た。セットポジションは大学時代までやっていて自信を持っていたので、元に戻しただけです」。山内投手コーチも「(フォーム変更は)3日前に決めていた。上手く修正してくれたね」と安堵の表情を浮かべた。この日の18個のアウトのうちゴロによるものは13個。打たせてとるという持ち味を存分に発揮したといえる。


 打線ではエルドレッドが大爆発。2回に1号ソロを放つと、6回二死三塁の場面ではこの日2本目となる2号2ランを左翼席に突き刺し、ルーキー右腕を援護した。「九里がいいテンポでイニングを終わらせてくれたのでいいリズムに乗っていけたよ」という助っ人はこの2戦で7打数4安打と絶好調だ。キャンプから野村監督の指導のもと取り組んできた新打撃フォームも好結果を生んでいる。


 打線の心強いバックアップもあり、観戦に来た家族の前で勝利を手にした久里は「ウイニングボールは親に渡します。いろいろ迷惑を掛けたので」と家族思いの一面を見せた。そして「スタートラインに立ったばかり。一年間通して結果を残さないとローテは守っていけない」。さらなる活躍を誓い、気合いを入れた。