<ソフトバンク5-2ロッテ(29日)>
中日からFA宣言しソフトバンクに移籍した中田が29日、開幕2試合目ロッテ戦(ヤフオク)に先発し、6回5安打2失点。昨季は崩壊状態となった先発陣立て直しのキーマンとして期待を集める男が、福岡のマウンドで見事な結果を出してみせた。
地元福岡での凱旋初登板で見事勝利投手となった中田は、お立ち台の上でやや照れながら「次の試合でも力強くがんばるっちゃ!」と地元・北九州弁で叫んだ。中日時代には見せなかった勝利のパフォーマンスにスタンドは沸き返り、右腕は手を振ってそれに応えた。
6回を投げ4安打2失点。6回には先頭打者への四球から2点を失い、本人は「(オープン戦では)やっていなかった部分。投げて勝ったという気持ちは、自分の中にはない」とまずは反省の言葉が口をついた。とはいえ、四球を出しながらも力で抑えるのが中田の本来のピッチングスタイル。中日の落合博満GMから監督時代に「暴れ馬」といわれたパワフルな投球が、いい形でよみがえってきたと考えることもできる。
1、4回と得点圏に走者を背負ったが、いずれもいずれも併殺で切り抜けた。5つの三振を奪い、球の切れも悪くはなかった。オープン戦とは異なる雰囲気の中「何とかホームにだけは(かえさない)、というつもりで投げていた」という必死の思いも結果に結びついた。
秋山監督は「ちゃんと仕事をできた」とまずまずの評価を下した。6回に2点を失いマウンドを降りた直後には、4番・李大浩と5番・長谷川が立て続けに適時打を放ち4得点で試合をひっくり返してくれた。打線の強力なバックアップにも助けられた。
セ・リーグからパ・リーグへの移籍だったが、球団から支給されたタブレット端末のiPad(アイパッド)で相手打者はチェックしていた。「見て考えるのは、けっこう好きなので」と話した。中日で挙げたプロ初勝利のウイニングボールは、2007年に亡くなった父に渡した。新天地での白球は、この日観戦に訪れた母にあげるつもりだ。
ソフトバンクはこれで2連勝。この日は長谷川が4打数3安打3打点をマークし、チーム全体では2ケタの10安打で5得点を挙げた。前日は成瀬、この日は唐川と昨季まで苦手としていた投手を相手に勝ったのは大きい。この勢いで開幕3連勝を飾り、一気に開幕ダッシュ態勢に突入する。