<ズームアップ甲子園(28日):佐野日大(栃木)5―4智弁学園(奈良)>佐野日大(栃木)が、智弁学園(奈良)に延長10回5―4でサヨナラ勝ちし、初の8強入り。10回二死満塁で小泉(3年)が左前打を放って試合を決めた。

 プロ注目左腕・田嶋(3年)は、高校通算59発の智弁学園・岡本(3年)を2奪三振、1安打に抑えるなど完投。8回に5連打を浴びて追いつかれたため「あそこは自分の甘さ。集中力が足りなかった」と笑顔はなかったが、随所に非凡なところを見せつけた。

 そんな剛腕はチーム内では「愛すべきおバカキャラ」でもあるという。「テストの赤点は当たり前だし、国語の音読では漢字が読めずに、しょっちゅう止まってしまう。日直の日誌もひらがなだらけなんです」とある選手。人の名前を覚えるのも苦手で「あいつ、誰だっけ」と仲間に聞くこともしばしば。寮で野球雑誌を読む時には「この漢字は何て読むの?」と他の寮生に聞きまくり、練習試合をした相手校名を読めないこともあったとか。

 もちろん、こんな話が出るのも、田嶋がナインの誰からも慕われているからこそ。別の選手は「田嶋がプロに行くとなったら僕らが勉強を教えてあげたり、全力でサポートしますよ」ともいう。「野球に関しては本当に熱心だし、全員が尊敬しています」とナインは口を揃える。佐野日大の大黒柱は、チームの話題の中心でもあるようだ。