巨人が警戒する虎の意外なキーマンとは――。チームは26日、東京ドームで全体練習を行った。いよいよ開幕を2日後に控え、首脳陣はスコアラー陣を交えて阪神対策を開始。オープン戦では元気がなかった伝統のライバルだが、その存在はやはり不気味だ。そこで標的に定めたのが“あの男”。名付けて「グリーンウェル化作戦」を実行し、虎の内部崩壊を誘うという。

 徐々にピリピリムードが漂ってきた。この日から、左太ももの付け根の違和感を訴えていた片岡も全体練習に復帰。主力が顔を揃え、入念な連係プレーの確認を行った。

 さらにこの日はキャンプ中から他球団を偵察していたスコアラーがチームに合流。開幕カードで対戦する阪神のデータが首脳陣に手渡された。チームはその資料を基に、27日に全体ミーティングを開いて本格的な虎対策を練ることになる。

 巨人にとって阪神は特別な相手だ。ましてや今年は球団創設80周年のメモリアルイヤー。伝統のライバルを相手に3連勝を決めれば、一気に波に乗ることができる。

 ペナントを占うオープン戦の成績は、巨人が11勝5敗1分けの3位だったのに対し、阪神は3勝10敗3分けの11位。だが巨人関係者は阪神について「勝っていないから不気味」だと見ている。「チーム状態は正直良くはない。だからこそ開幕で乗せてしまわないよう、最初にしっかり叩かないといけない」と話す。

 では、虎を退治する上で重要なポイントはどこになるのか。同関係者は「能見、メッセンジャー、榎田の先発ローテは昨年と同じで、3人とも簡単な相手じゃない。呉昇桓(オ・スンファン=31、前サムスン)もいいですね」と話すが、実は最も警戒すべきはオープン戦絶不調だった新外国人のマウロ・ゴメス内野手(29=前ナショナルズ)だという。

「不調のゴメスを打たせると、眠っているチーム全体を起こしてしまう危険がある。逆にビシッと抑えれば“自滅”も誘える。もし開幕カードで『新4番が10タコ』なんてことになれば、ファンを巻き込む大騒動になるはず。こっちは4月で米国へ帰すつもりでやりますよ」。具体的な弱点こそ明らかにしなかったが、すでに対策はできているようで、自信のほどをうかがわせた。阪神では1997年に「神のお告げ」という言葉を残し、開幕直後の5月に突然引退を発表して大騒動を巻き起こしたマイク・グリーンウェルという伝説の“ダメ助っ人”がいた。阪神は同年、そのショックもあってか5位に沈んだ。

 巨人が狙っているのはその再来。ゴメス封じで、乗せたら怖いライバルの出はなをくじくことができるか。