【2014ペナント予想:大下剛史】面白みのない予想になってしまうが、パはオフに大補強したソフトバンクの優位は揺るがない。オープン戦で見せた強さは本物だ。強いて言うなら、信頼できる先発投手が摂津だけという点が不安要素だが、それを考慮しても他を圧倒している。開幕から独走しても何ら不思議ではない。

 ただ、そうなってしまったらファンの興味も薄れてしまう。戦力差は明らかでも意地ぐらいは見せてもらいたいし、それを期待できるとすれば、楽天の星野監督と西武・伊原監督、ロッテ・伊東監督だろう。特にソフトバンクの秋山監督と同時期に西武で同じ釜の飯を食べた伊原、伊東両監督にはライバル心もあるだろうし、12球団一とも言える強敵にどう食らいついていくか…という見方をすれば面白みも出てくるのではないか。

 セは、つい最近まで広島を優勝候補に推そうと思っていた。しかし、オープン戦でのバリントンの乱調を見て考えが変わった。去年あたりから兆候は出ていたが、あの球威のなさではどうにもならない。将来的なメジャー挑戦を公言しているエース前田が、昨年の田中のように20勝無敗ぐらいの成績を残せば話は別だが、いくら野村や大瀬良がいるといってもバリントン抜きで巨人を倒すのは難しいだろう。

 その巨人にしても絶対的な強さはない。体が大きくなり、球威も増した菅野は頼りになるが、内海と杉内の両ベテラン左腕は投げてみないと分からない状態だし、宮国や今村ら若手も伸び悩んでいる。移籍1年目の大竹に過度の期待をかけるのも酷だろう。そう考えると、パのソフトバンクほどの安定感はない。

 巨人と広島がそれぞれ不安を抱える中、面白いのがDeNAだ。5位に予想したが先発投手の頭数はいるし、投打ともゲームをつくれる布陣になった。開幕2カード目の地元横浜での巨人戦で波に乗れれば…という条件は付くが、セを引っかき回す存在になるかもしれない。

(本紙専属評論家)