ライバル球団がうらやむ巨大戦力を有しながら、巨人の中堅手はいまだ固定できないままだ。

 ここまで原辰徳監督(55)は大田や橋本といった若手を起用し続けていたが、満足には程遠く「中堅という位置でだらしない人が多すぎる」とバッサリ。12日のロッテ戦(QVC)では内野手登録の藤村に中堅を守らせるというシーンもあった。

 若手が伸び悩むだけではなく、キャンプ中に亀井が右人さし指を骨折。思わぬ人材難に直面した原監督はキャンプ終盤に大田との入れ替わりで二軍落ちを言い渡した松本哲に再び白羽の矢を立てるなど、センター選びは混迷を極めている。

 3年ぶりにバットを寝かせて持つ「てんびん打法」を復活させた松本哲は、二軍落ちを命じられても腐ることなく、教育リーグで奮起。24打数9安打、打率3割7分5厘(17日現在)と結果を残した。「自分の中では、とにかく打撃が足りないと思う。目に見える形で結果を残したい。もちろん、ポジションを取り返してやろうって気持ちですよ!」と本人はやる気になっているが、チームにとっても“最後のとりで”だ。

 昨季は中堅で長野の88試合(試合中の変更を含む)に次ぐ85試合に出場した松本哲は、チームトップの41試合で2番打者を務めるなど、今の巨人に不足している要素を穴埋めしてくれる人材ではある。果たして指揮官が「だらしない」と切り捨てた中堅レギュラー争いの切り札となるのか。今年7月に30歳を迎える小兵が、チームの明暗のカギを握ることになった。