左腕エースの様子が、どこかおかしい。巨人・内海哲也投手(31)が16日のソフトバンク戦(大分)に先発したが、まさかの乱調で2本塁打を浴びるなど5回11安打8失点と大炎上。チーム内からはあくまで調整と見る向きもある一方、開幕投手が後輩の2年目右腕・菅野智之投手(24)に決定的となっている影響を心配する声も上がっている。

 初回からバタついた。先頭の今宮に中前打を許すと一死二塁となって内川には外角スライダーをとらえられ、右中間フェンス直撃の二塁打であっさり先制点を献上した。

 2回になっても制球が定まらない。先頭の柳田には直球で内角を突いたが、3球目が死球となるとプッツン。その後は高めに浮いた球をことごとくはじき返された。なかでも内川には二死から直球を左翼席へ、さらに4回には2本目の本塁打を浴びるなど計8失点。最後まで立て直すことができず、5回88球を投げたところでマウンドを青木に譲った。

「今日は自分の全てが悪かった。球が全部高かったし、打たれるべくして打たれた。悪いところが全部出た」と淡々と振り返った内海。川口投手総合コーチは「今日はルーキーの捕手(小林)だったから、自分の投げたい球を知っている慎之助と比べるとね…。『小林の勉強だ』と(内海には)言ったんだ」と左腕をかばったが、内海は「誠司(小林)のリードに応えられなくて申し訳なかった」と自分を責めた。

 試合も0―10の大敗。原監督は内海について「球数を投げられたというところは良かったが、微調整は必要でしょう。あれだけ相手打者に気持ち良くスイングをされているようではいけませんね」と苦言を呈したが、開幕前とあって表情はさほど変わらなかった。

 開幕までは2週間を切った。それでも川口コーチは「(状態は)よくはないけれど、心配はしていません」。内海の高い修正能力を考えれば、まだ十分立て直す時間があるとみている。

 だが一方で選手の間からは、内海のメンタル面を心配する声も実は上がっていた。きっかけはこの日の登板結果を待たず、チーム内で数日前から菅野の開幕投手が“決定的”という雰囲気が流れていることだった。

 ある主力は「智之がいい投手だといっても、さすがにまだ早いんじゃないか。2年目の投手に任せるというのは、よっぽど他に候補がいないチームのやることでしょう。内海からしたら面白くないはずだよ。これで気持ちが切れないといいけどね」と左腕の心中を察して、影響を心配する。

 今季、内海が開幕投手にかける思いは半端ではなかった。それだけにこのまま菅野の開幕投手が正式決定して左腕エースに“落選ショック”が本番まで尾を引くようだと、巨人投手陣はまた苦しくなる。