広島の前田健太投手(25)が“新球封印”で復調した。15日のロッテ戦(QVCマリン)に先発した赤ヘルのエースは5回5安打1失点でオープン戦初白星をゲット。「それなりの結果が出てホっとした」と笑顔を見せた前田はこの日はオフから取り組んできたスプリットを封印することで修正に成功。今後も継続してスプリット習得を目指すが、シーズンが近いだけにスプリットだけに固執はしないつもりだ。

 エースが本来の姿を取り戻した。初回、一死一、二塁のピンチを背負ったが、井上の強烈なピッチャー返しをナイスキャッチし一塁で併殺。持ち味の守備の良さを生かして好発進を切ると3回に1点を奪われた以外は最速147キロの直球を生かてロッテ打線を料理した。「最後の1イニングは追い込んだら狙ってみようかなと思っていった」と5回は2者連続三振を奪うなど上々の内容でマウンドを後にした。


 前回登板のヤクルト戦では3回6失点と炎上。新球であるスプリットを試すあまりにフォームが崩れていたところがあった。その反省をこの日は生かした。「1回フォームを修正して上がった。スライダーを投げたかった」とスプリットを一時的に“封印”した。これによって早くなっていた体の開きを抑えることができ、前回はシュート回転していた直球の制球が格段に良くなった。


 スプリットは投げなかった代わりに、右打者への決め球としてチェンジアップを使った。「バッターの反応が反応するか試した部分がある」としながらも3回には伊志峰から、5回には金澤から空振り三振を取るなど上々な成果を挙げた。これまで特訓してきたスプリットに関しては「これからも投げていく。覚えている段階。シーズンに入ってからもできることがあるだろうし、状態を見ながらになる」と引き続き様子を見ながら試すが、無理に投げることはしないつもりだ。


 3回目の実戦でようやく本来の投球をしたエースに野村監督も「今日はストレートも多かったしストレートあっての変化球。しっかり修正できていたと思う。順調というか上がってきている」と安堵の表情を浮かべた。次回は21日のソフトバンク戦で開幕前ラスト登板となる予定の前田。「しっかり調整して開幕にいけるようにしたい」と本番モードで総仕上げをするつもりだ。