悩める男にようやく復調の兆しが見えた。昨季、打率3割7厘をマークしたソフトバンクの中村が15日、巨人戦に1番・左翼で出場し、オープン戦初の3安打をマークした。「(復調か)まだ分からない」と前置きした上で「タイミングが合ってきた。ヘッドが走りだした」と静かに話した。

 初回は逆方向の左前へきっちりとはじき返し、3回は泥くさく内野安打。5回は再び左前に運んだ。いずれも好投手の巨人の菅野から放った、価値ある3本だった。


 ここまで3試合は無安打が続き、打率は1割台まで落ちていた。だが、試合がなかった前日の練習から、左手の使い方を強く意識するようにし、好結果につなげた。


 秋山監督はこの日の中村を「今日はいいバッティングをした。だいぶいい形で収まってきているんじゃないか。去年に近づきつつある」と評した。現在は本多と1番争いをしている。先輩を押しのけて“切り込み隊長”に就任するには、もう一段、レベルを上げなければならない。


 藤本打撃コーチは中村を「3安打しても、一打席が悪かったら悩む」タイプだという。しかもいったん悩み出すとそれが打撃に影響してしまう。3試合連続無安打も、昨季のようなファウルで粘るバッティングできずに悩んだことが原因の一つ。ある球団関係者は「中村は調子は悪くないんだから、もう少し鈍感になったほうがいい」と指摘する。


 今日16日の巨人戦は今宮が1番起用される予定。本多との競争は開幕ぎりぎりまで決着がつきそうにない。“鈍感力”を身につけて、なんとしてでも1番の座をつかみ取りたいところだ。