ロッテのアジャこと、ドラフト5位ルーキーの井上晴哉内野手(24=日本生命)が好調だ。ここまでオープン戦で文句のつけようがない成績を残している。

 そんな井上だが、本紙評論家の得津高宏氏には「プロは社会人の投手とスピードが違いますね」と悩みがあることも漏らした。スピードの違いに戸惑いながらも、これだけの成績を残せているのはなぜなのか。得津氏はこう見ている。

「彼の長所はハンドワークの柔らかさ。そしてタイミングの取り方に天性のものを感じる。リズム感があるから、タイミングを狂わされたとしても柔らかいハンドワークでグッと我慢し、スイングの軌道修正ができる。こういうタイプの打者は率を残せるんです。体形もそうだが、ドカベン香川とイメージが重なる。香川も柔らかいハンドワークで一発というより率を残せる選手だった。これは井口もウカウカできないですよ」

 そこで得津氏が井上に送ったアドバイスは「自分だけのチャート表をつけること」。その意図は「プロ野球は通常、スコアラーがデータを持ってくるけど、それだけではなく、自分で実際に対戦して、気がついたことをノートにつけることが大切。そうすることで次回の対戦にも生きるし、自分の財産になる」。頭を使った野球を習慣づけることができれば、さらなるレベルアップが見込めるという。

 井上の現在の体重は111キロ。公称の114キロからすでに3キロ減とキャンプ、オープン戦を経て絞れてきているが、その体重も、得津氏によれば「痩せすぎてもパワーがなくなる。無理に落とすことはない」とか。同氏のアドバイスに「はい」と神妙な顔でうなずいた井上は、頭のトレーニングも求められている。