阪神が12日の広島戦(甲子園)も4―6と敗れた。これでオープン戦1勝8敗1分け。この低迷に総帥・坂井信也オーナー(66)が怒りの苦言を呈した。さらに、チーム内外から和田豊監督(51)ら首脳陣に対して「危機感がない」という批判も噴出している。3・28開幕まで約2週間。早くも虎軍団に緊迫ムードが漂っている。

 大阪市内のホテルで行われた阪神電鉄主催の激励会。最初に壇上に立った坂井オーナーは怒気を含んだ口調でまくし立てた。「私は非常に危機感を持って、心配を募らせております。オープン戦というのは開幕に向けて各人の調整の場ということもわかっております。それを踏まえても他のチームより調整が遅れているのではないか」――。

 その後も「昨年2位で悔しい思いをしたのに、チームが昨年の流れ、雰囲気を払拭できていない」と厳しい言葉が続き、最後は「9シーズンもファンをお待たせしている。今年はリーグ優勝、日本一をぜひ果たしてほしい」とV奪回を厳命した。

 激励会後も「オープン戦の負け方も昨年を思い起こさせる悪い負け方が多い。元気がない感じも受けたし、どこかで言わなアカンと思っていた。もちろん、こういうことを言うのも信頼しているからこそ。私の心配が杞憂に終わることを願っている」と真意を説明した。

 この総帥の異例の猛ゲキに対してナインも「オーナーがキレた…」と驚くばかりだが、実は球団内でも「キャンプからそうだけど、ミスをしても厳しく指摘するのは一部のコーチだけ。若手の底上げと言いながら目立っているのは掛布DC(GM付育成&打撃コーディネーター)ばかり。首脳陣から危機感が感じられない」と嘆く声が続出していた。

 さらに、OBからも「投手の駒も足りないし、野手も層が薄い。でも、首脳陣の話を聞いていると“何とかなる”と思っているんではないか、と感じてしまうこともあった。実際にこの時期になっても戦力の上積みを全く感じない」という厳しい指摘が飛び出している。

 坂井オーナーの次に壇上に立った和田監督は「ご心配をおかけしていますが、チームはキャンプからの方針に基づき着々と前に進んでおります」と“弁解”した。今季は契約最終年。不穏ムードを払拭するためには開幕ダッシュしかない。