大補強を敢行して日本一奪回を目指すソフトバンクのカギとして“西武黄金時代流”の再現を挙げる声が出ている。

 指揮官が主力だった西武の黄金時代は秋山―清原―デストラーデのクリーンアップを筆頭にスタメンがほぼ固定。先発ローテーションも同様で、控えにもプロフェッショナルが揃っていた。

「首脳陣もレギュラーをある程度固定する方針でいる。調子の上がらない選手(野手)に関しては左右に応じて起用する場合もあるかもしれないが、基本的には固定にしようとするはず。あとネックとなるのは、当時の西武のように、いかに控えに回った選手がバックアップとして腐らずに自分の役割を発揮できるかということ」(チーム関係者)。

 黄金期の西武にも劣らぬ今季のソフトバンクの巨大戦力ぶりはチーム内外から大きな注目を集めているが“付け入る隙”として指摘されるのが余剰戦力だ。かつての巨人のような失敗例もあり、他球団関係者は「たくさん補強をしても野球の場合は試合に出られる選手が限られている。それに選手が不振から脱出するためには、そのまま目をつぶって起用してもらうのが一番いいが、戦力が厚い場合は代わりがいるから、他球団なら主力クラスの選手が、すぐに控えに回されたり二軍に落とされるような状況にもなるからね」。

 実際、4位に沈んだ昨季も戦力的には充実していたものの、先発陣が大崩壊。じっくり復調を待たず投手の入れ替えを繰り返した結果、エースの摂津以外が総倒れ状態となってしまった。また、同じく好不調で4番を交代制としたが、それも結果に結びつかなかった。

 決して簡単ではない巨大戦力の操縦。オープン戦中に戦う形を固定し、そこから外れた選手がサブとして万全な状態で控える形が理想だ。今季のソフトバンクが黄金期の西武ばりの強さを発揮するには、選手を起用する秋山監督ら首脳陣が「いかに我慢できるか」ということもポイントとなりそうだ。