巨人のオープン戦が22日のDeNA戦(沖縄セルラースタジアム那覇)を皮切りにスタート。その中でも注目カードは、やはり松井裕樹投手(18=桐光学園)との対戦が実現する楽天戦(23日・セルラー)だ。この試合を、たかがオープン戦と侮ってはいけない。昨年の日本シリーズのリベンジという位置づけもあるが、大物ルーキーを打てなければとんだ赤っ恥をかくことになる。

 ここまでの練習試合とは違い、オープン戦には阿部、高橋由ら主力選手も満を持して登場。日本一奪回を目標に掲げるシーズンに向け、本格的な実戦での調整が始まる。

 そこで注目を集めるのが楽天との対戦だ。巨人にとっては、昨季の日本シリーズで敗れた因縁の相手。あの悪夢を払拭する意味でも“絶対に負けられない試合”となる。しかも、ただ勝てばいいだけではない。この試合は楽天の大物ルーキー左腕・松井裕のプロ初登板となるひのき舞台で、お膳立てを整えた星野監督も巨人潰しに躍起となっているからだ。「巨人戦ならファンやメディアなど、多くの人に注目される。打たれてもともとで、そこで抑えられれば、本人の自信にもなる。それが星野監督の狙いです」(楽天関係者)

“球界最後のアンチ巨人指揮官”を自負する星野監督は以前から「セ・リーグには巨人のライバルがおらん。だからあんなに独走するんじゃ」と話しており、リーグは違えど巨人を目の敵にしている。巨人打線が松井裕に封じ込まれるようなことがあれば、世間へ大々的に“醜態”をさらすことになる。そうなれば相手の思うツボ。巨人はシーズン突入を前にチーム全体のリズムを崩されかねない。

 巨人の選手たちは一様に「楽しみですね」と話すが、のんきなことは言っていられない。今季のチームは「競争」がテーマ。松井裕を打てなかった主力選手たちが“初登板の高校生ルーキーに抑えられるなんて…”とショックを引きずり、そのまま自信を喪失してレギュラー争いからも脱落――。

 そんな悪循環が起こってしまう危険性もゼロではない。

 さらに松井裕は巨人も目をつけていながら、ドラフト直前で獲得を見送った選手。つまり“見切った投手”だ。そんなルーキーにやられてしまっては球団としても面目が立たない。楽天との試合は巨人の誰にとっても“たかがオープン戦”といって気を抜くわけにはいかない一戦なのだ。

 松井裕は先発として3イニングを投げる見込み。「初物に弱い」と言われる巨人だが、今回ばかりはガチンコで大物ルーキーを仕留める必要がありそうだ。