ソフトバンクの今宮が“ムネリン流継承”を今季のテーマに掲げた。昨季は22歳にして遊撃手部門のゴールデングラブ賞を受賞。今や守備面の評価は球界トップクラスだが、本人が課題として挙げるのがチームきってのムードメーカーだった“先代”遊撃手・川崎(現ブルージェイズ)のような絶妙な声出しだという。王座奪回へ、チームをグイグイ引っ張っていくつもりだ。

 昨季、リーグ最多犠打記録の更新、遊撃手部門でのゴールデングラブ賞受賞と大ブレークした今宮が、今日15日から本格化する実戦を前に新テーマを披露した。

「ショートを守っている以上は、意味のある声の出し方をしていきたい。(内野同士の)連係の声だったり、投手がボール球を続けたときだったり(昨季は)出せてない部分もたくさんあった。143試合出ている経験を生かして、去年よりもっと声を出していきたい」

 目指すべき理想像として挙げたのが、ファンからこよなく愛されたソフトバンクの前任遊撃手で現ブルージェイズの川崎だ。「ムード、チームの雰囲気をガラッと変えられる選手。参考にしたい。川崎さんがいるのといないのとでは、周りも全然違うと思われていたし、見ていてすごいなと思ってました。自分もガラッと変える選手になれたらなと思います」と話した。

 たとえば、マウンド上の投手に声をかけて、間合いをつくるタイミングは難しい。昨季の今宮はベンチに帰ってから「あそこで行ったらよかった」と反省することもあったという。1シーズンの経験を積んだ今季は「僕が行っていいと感じたタイミングで行こうと思います。周りを引っ張っていける声を出していきたい」と決意を固める。背中を見てきた遊撃手“川崎流”の継承というわけだ。

 今や米球界でもムードメーカーとして認知されている川崎は、ソフトバンク時代にもチームを盛り上げてきた。声出しにしても絶妙。ここぞというタイミングで若手投手に対して「ここチェスティング(踏ん張りどころ)やぞ!」などと“川崎節”でゲキを飛ばしたりしてもり立てた。その目に見えない貢献度は、2011年オフに杉内(巨人)らエース格の先発投手3人が大量流出した際にも、王球団会長が「川崎の穴」を一番のネックに挙げたほどだった。

 14日も休日返上で汗を流した今宮。さらなる成長が期待される2014年シーズンは、チームの日本一奪回に向けて、もう一段階のステップアップを目指す。