中日の守護神・岩瀬仁紀(39)が13日、今年の沖縄・北谷キャンプで初めて打撃投手を務めた。高橋周、岩崎、森越の3人に計42球。そのうち5球ほど、昨秋から取り組んでいる新球のカットボールを織り交ぜた。

「投げたといっても若い子に投げるのは気が引けるんでちょこっとだけです」と遠慮気味に話した岩瀬だが、ナインはこの新球を大絶賛。対戦した森越が「(カットを投げると)宣言して投げられたんですけどピュッと来て打ち損じました。ストレートと同じ投げ方で同じ軌道。それで曲がる」と驚けば、マスクをかぶった田中は「(横に)滑ってました。もともと真っスラは投げるんですけど、それよりも曲がりが遅い」と目を丸くした。開幕までに習得できれば岩瀬にとって大きな武器となりそうだ。

 加えてチーム関係者はこんなこともいう。「(カットボールを)シーズンで投げなくても構わない。オープン戦まで取り組んで投げることが大事なんだよ。岩瀬が新しい球種を投げているとなれば、他球団のスコアラーはこぞってチームに報告する。これが大きい。実際に投げなくても相手打者の頭のどこかにちょっとでも新球のことがかすめれば打ちにくくなる。他球団の選手に球種が増えた情報が入るだけで岩瀬にとって有利になるからね」

 ここ数年、秋になるとナックル、パームなど新球に取り組むのが岩瀬のパターン。そしてシーズンでは結局、この新球を使わないのも同じようにパターンとなっている。竜の守護神の新球へのチャレンジ。実は真の理由はこちらなのかもしれない。