鷹の黄金ルーキーがついにベールを脱いだ。ソフトバンクのドラフト1位・加治屋蓮投手(JR九州)が9日、入団後初となるブルペンでの投球練習を敢行。捕手を立たせた状態で30球を投げた。現在はB組調整中とはいえ、目標とする開幕ローテーション入りへ一歩前進した右腕は、地元・宮崎県串間市の観光大使になるという大きな夢を抱いている。

 久しぶりのブルペン。加治屋は「初めてだったのでバランスだけ意識した。上半身と下半身のバランスだったりマウンドの傾斜を確認しながら投げました」と振り返った。


 昨秋のドラフトで指名を受けた後の11月頭に右足第3中側骨の疲労骨折が判明。同期入団のルーキーが続々とトレーニングを進める中、長いリハビリ生活を続け、昨年10月の全日本選手権以来となるマウンドに立った。憧れの斉藤和巳氏が見守る中でのピッチング。「最初は気になったけど徐々に自分のフォームのことだけ考えました」と4か月ぶりの投球にとことん集中した。


 回復は極めて順調だ。「右足一本で立ってもグラつくことはなかった。けがをしている間に行った体幹やバランストレーニングが生きたかな、という感じ」という。そんな加治屋について、山内投手コーチは「彼の場合、投球技術はすでにできている。あとは足の状態次第で今後もブルペンに入ることになる」と説明。今後もあせらずに調整を進めていく方針だ。


 骨折してからここまでのリハビリ生活の中で、加治屋の心の支えとなっていたのが地元・串間市への思いだ。


 このオフ、地元に戻ったとき、串間市の関係者らから激励会を開いてもらい、野辺修光市長に「頑張ってください。期待しているよ」とエールをおくられた。また多くの人たちに励まされたという。「今まで何の接点もなかった地元の方たちがたくさん応援してくださったことが心の支えになった」


 串間市は、現役時代はロッテで活躍し、監督を務めた西村徳文氏の地元でもある。加治屋は「いつか西村さんを超えるような成績を残して観光大使になって、串間市を盛り上げられたら」と、地元への恩返しプランを思い描いている。鷹の期待のルーキーは、大きな夢に向けても一歩を踏み出した。