ついにゴジラが打った。巨人・宮崎キャンプで臨時コーチを務めている松井秀喜氏(39)が7日、打撃練習を敢行。グリーンシートで覆われた打撃ケージの中で行ったため、その姿を確認することはできなかったものの、関係者によれば「非常にいいスイングをしていた」。原監督からはフリー打撃の実演を要請されているだけに、今キャンプ中にサンマリンスタジアムでゴジラの“豪快アーチ”が復活することになりそうだ。

 周囲がどよめいた。全体練習が終了した後の木の花ドーム。松井氏がバットを持った球団関係者とともに打撃ケージの中へ、ゆっくりと入っていった。グリーンシートで覆われていたため中の様子は確認できなかったが、時間にして約10分。「カーン、カーン」という松井氏の力強い打球音が速いペースでドーム内に響き渡った。

「ケージに入っていった? 幻だよ。(打撃練習は)やっていなかった。ダイエットにいいかなと」

 松井氏はつじつまの合わないジョークを口にしてごまかしたが、シートの内側で打撃練習を敢行していたのは明らかだ。ケージの中の様子を目撃していた球団関係者によれば「ボールケースに入っていた球を半分ぐらい打っていた。非常にいいスイングだったよ」。ティー打撃で約100球、気合十分の表情で打ち込んでいたという。

 昨年末の時点で原監督からは今キャンプでのフリー打撃実演を要請されていた。

 とはいえ「キャンプの主役はあくまでも選手であり、臨時コーチの自分が目立ってしまうのは良くない」というのが松井氏のスタンス。それだけに当初は消極的だった。しかし今キャンプで再び指揮官から「(松井氏のフリー打撃は)天気のいい時だな。いい風が吹いている環境があるだろ。コンディションを考えないとな」との発言が飛び出し、周囲の実現ムードが高まる中“やらざるを得ない状況”が出来上がってしまった。

 松井氏は数日前に「(指導で)言うだけ言って、自分が打つのを見せて『何だよアイツ』って言われるのも恥ずかしい。こっそり万全な準備をしてやりたい。それができるかどうかですね」とも語っていただけに“ブラインド・ティー打撃”はXデーに向けた練習だったとみられる。

 この日も外野ノック、寺内のフリー打撃で打撃投手として106球を投げるなど、八面六臂(ろっぴ)の動きを見せたゴジラコーチ。宮崎地方の天候は8日午後から徐々に回復へと向かう見込みだけに、早ければ日曜日の9日にも大勢のファンの前で快音を響かせることになりそうだ。