巨人の宮崎キャンプで臨時コーチを務めている松井秀喜氏(39)が第2クール初日の6日もフル回転した。村田修一内野手(33)のフリー打撃に登板し、152球の熱投。さらには巨人の4番打者の心構えを伝授した。これには村田も感激だ。

 この日は朝からあいにくの雨。一軍は終日、室内練習場(木の花ドーム)で各メニューをこなした。松井臨時コーチはその間、別の室内練習場で行われた二軍練習にも顔を出すなど、これまで同様、精力的に動き回った。

 全体練習終了後は、村田を相手に打撃投手として登板。休日を挟み5連投だ。松井氏が時折うなり声を上げながら投げ込む球を、村田は黙々と左右に力強く打ち返した。

 152球の特打が終了すると、頭を下げた村田に松井氏が歩み寄って2人はその場で短い会話を交わした。松井氏は「どの球でも力強く振れていた。去年成績を残したのが投げていて感じ取れた。逆方向にいい打球を打てていたのは素晴らしい」と村田の打撃を絶賛した。

 具体的な会話の内容については明かさなかったが「(4番は)野手の中では最高のポジション。自分の中で、巨人の4番を打っていたのは常に意識していた。それは4番を打つ人の宿命だと思う」。聖域を任された後輩に魂をぶつけた。

 一方の村田はもちろん大感激で「光栄でした」。村田が松井氏に聞きたかったのは、打席での心構え。その問いに対する答えは「自分が狙った球を打つこと。いろいろ考えず、狙い球を絞って打席に入ることが大事」だったという。

「考えはシンプル。普段、僕も同じことを考えている。松井さんのような方でも、最終的にはそういう考え方なんだなと。基本は大事と思い知らされた」(村田)

 村田も最近は“巨人の4番は聖域”と感じている。昨年まで「(打順は)何番でもいい」と話していたが、今は「決めるのは監督ですが、僕は4番を打つつもりでやっていきたい」とこだわりを口にするようになった。

 憧れの大打者から薫陶を受けた村田は「この球団の大先輩。背中を追いかけていければ」と決意を新たにした。