キャッチャーが捕れない球を打てるわけがない。楽天の5球団競合のドラフト1位左腕・松井裕樹投手(18=桐光学園)が5日、キャンプで初めて伝家の宝刀スライダーを解禁した。3日ぶりにブルペンに入った松井裕は、正捕手の嶋を相手に65球。その嶋が驚いたのが、一昨年の夏の甲子園で1試合22奪三振の大会新記録をマークした決め球のスライダーだ。ストライクゾーンから急激に落ち、審判がボールと判定するほどの狙い通りの落差だった。

 そのエグイ変化はやはりプロでも“規格外”ということか、スライダーの3球目はミットの手前で地面ギリギリとなり、嶋はキャッチすることができなかった。星野仙一監督は「嶋が捕れない? アイツはチームで一番ヘタクソ」と平静を装ったが、黄金ルーキーの魔球が“日本一捕手”でも捕れなかったことに「スキップだよ」と足取りは軽かった。

 佐藤義則投手コーチも「(スライダーは)いいな。曲がるスピードが素晴らしい。プロでもあまりいない。高校生相手なら三振が取れるハズ。天性の能力」と絶賛した。

 嶋は「スライダーを捕れるように練習します。絶対にローテに入ってくるはず」と期待。捕手を座らせプロ初のスライダーを解禁した松井裕は「投げ始めなので確認です」と笑顔を見せた。この日の“名刺代わり”のスライダーは強烈なインパクトとなったようだ。

 一方、バント処理の投内連係練習では一塁へのけん制が2度ボークに。これには「前から言われていた。改善しないといけない」(松井裕)と反省。これから学ぶべきプロの技術もあるとはいえ、黄金ルーキーはひとまず順調なステップを踏んでいる。