楽天はドラフト1位左腕・松井裕樹投手(18=桐光学園)の扱いで一苦労しそうだ。沖縄・久米島キャンプでの調整は順調ながら「体のバランスを考えて投げています。まだまだです」。ライバルチームには早くも脅威の存在のようで、偵察に訪れた西武の亀井猛斗チーフスコアラーは驚き交じりの表情で松井裕を絶賛した。


「高卒新人では松坂(大輔=現メッツマイナー)以来の腕の振りの速さに見える。背筋の力が相当強く、そのおかげで速い球が放れるしスライダーのキレも増す。ここからドンドン状態が上がってくると思う。投げていけば成長するタイプ。当然、一軍で投げると思うし、ウチにとってはライバルになると思う」


 楽天では2007年の田中以来となる高卒新人のキャンプ一軍スタートながら、星野監督は「7がけ8がけでやらせる」と話すように、松井裕を慎重に育成する方針だ。12年には高卒ルーキーの釜田が20試合で7勝4敗の成績を残しながら、13年に右ヒジを疲労骨折して手術した苦い経験もある。レンジャーズ・ダルビッシュを育てた実績もある佐藤投手コーチも「(松井裕は)まだまだ。(2年目左腕)森(雄大)の方がいい」と同じ考えだ。


 ただチーム内には「松坂の1年目(16勝5敗)ぐらい活躍してくれるのでは…という期待感はある」(コーチの一人)との声もある。育成重視か、それとも即戦力か…。紅白戦、オープン戦と結果を残し続けた場合、開幕までに究極の選択を迫られる可能性もありそうだ。