昨年、現役を引退した元中日の山崎武司氏(45)が自身のプロ野球人生をつづった自叙伝『さらば、プロ野球 ジャイアンの27年』(宝島社)を出版した。戦力外通告を受けるなど波乱万丈だったプロ野球生活から星野仙一、高木守道、野村克也監督ら共に戦った指導者への思いなど読み応えたっぷり。現役生活を終えて新たなスタートを切った山崎氏に話を聞いた。
 
 ——現役生活を終えて現在の心境は?

 山崎:まだ実感はないかな。31日に沖縄に入って2月1日から始まるキャンプを見るけどその時に“ああ辞めたんだな”って思うのかもしれない。

 ——今回、本を出すことになったきっかけは

 山崎:これまでも何冊か本は出してるんだけど、現役選手を辞めるというのは1つの区切り。どう感じていたかを書きたいなと思った。

 ——本を読ませてもらってまず感じたのが面白い! その次に頭に浮かんだのが、ここまで書いちゃって大丈夫なの?だった

 山崎:あれでもだいぶやんわり書いてあるんですよ。

 ——中日からオリックスへ移籍を志願した経緯や現役時代に仕えた指導者とのエピソードがすべて実名で書かれている。かなり強烈な内容のものもあった

 山崎:この時代オブラートに包んで表現するというのが当たり前なのかもしれない。でもオレは認めないものは認めないとはっきり言いたいから…。間違った形で捉えてる人がいっぱいいるでしょ。

 ——そんな中で楽天時代の野村克也監督との話には2人の強い絆が感じられた

 山崎:オレは本当に野村さんに生かしてもらったから…。監督になると誰でも結果重視になる。でも野村さんは違った。自分は暖かくなると調子が上がってくるタイプなんだけど、寒くて結果が出ない時期でも野村さんは「焦るな。じっくりやれ」と言ってくれた。選手って監督の何気ない一言がすごくうれしくて力になるものなんですよ。

 ——これからは評論家として活動する

 山崎:中日スポーツと東海テレビが中心になる。東京でのテレビはフリーで活動させてもらいます。

 ——本音をズバズバ言う評論家になりそうだ

 山崎:ケンカを売って戦をしようとは思わないけど1人2人いてもいいでしょう。オブラートに包まない人間がいても。

 ——そういう人に東京(中京)スポーツで評論家をしてもらいたかった

 山崎:ハハハ…。中日スポーツは裏切れないからね。でも東スポは面白い記事でもしっかり裏を取って書いているからいいよね。

 ——ファンの中には将来的に中日の監督として帰ってくることを望んでいる人がたくさんいる

 山崎:去年辞めたばかりだけど、当然いつかは現場に戻りたいという気持ちはある。中日や楽天に“帰って来い”と言われた時に自分のものを持っているか。それを作っていく時期だと思ってる。