野球殿堂博物館は17日、今年の殿堂入りを発表し、競技者表彰のプレーヤー表彰として、日米通算201勝で日本人選手の米大リーグ移籍のパイオニアとなった野茂英雄氏(45)、ソフトバンク・秋山幸二監督(51)、日米通算381セーブの佐々木主浩氏(45)が選出された。野茂氏は史上最年少となる45歳4か月での選出で、候補者の資格を得た1年目に殿堂入りするのはビクトル・スタルヒン氏(故人)、王貞治氏に次いで3人目の快挙。日本人初の候補となった今年の米国野球殿堂入りは逃したが、日本で見事リベンジした形だ。

 野茂氏は17日、兵庫・豊岡市で会見した。「候補者に選ばれていることも知らなかったので本当に驚いている。投票してくださった方々、またこれまで僕の野球人生を支えてくださった家族、そしてチームメートに感謝しています。僕自身が残してきた結果は他の選手と比べると少し落ちてしまうが、周りが良く思ってくれるのはうれしい」と笑みを浮かべて話した。

 社会人野球・新日鉄堺から1989年のドラフト1位で近鉄入りした野茂氏はルーキーイヤーの90年から大活躍。最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠を独占し、同年の新人王、沢村賞、ベストナイン、MVPも獲得した。日本での印象深い試合はプロ初勝利を挙げた4月29日のオリックス戦(西宮)という。「仰木さん(元監督、故人)の誕生日でプロ入りしてそれまで1か月勝てなかった。勝ち星がついてチームの中に入れたと思った日だった」

 95年に米大リーグのドジャースとマイナー契約。同年5月のジャイアンツ戦でメジャーデビューを果たし、村上雅則氏以来の31年ぶり2人目の日本人メジャーリーガーとなった。野茂氏は「自分の目標、夢がかなった日。忘れがたいですね」と感慨深げに振り返った。同年に米国でも新人王を獲得。翌96年9月のロッキーズ戦ではノーヒットノーランを達成。レッドソックス時代の2001年のオリオールズ戦で米大リーグ史上4人目となる両リーグでのノーヒットノーランを果たした。

 現役引退後も野球への情熱は衰えていない。「アマ野球の盛り上がりが、プロ野球につながっていく」と現在はアマ球界に軸足を置く。プロ野球への現場復帰については「自分の力でどうにもならないこと。今のところは考えていないです」と述べ「まず統一契約書の見直しを野球界はもう一度考えてもらいたい」と注文も付けた。