新ポスティングシステムでメジャー移籍を目指す楽天・田中将大投手(25)だが、果たして田中はメジャーでも成功するのか? そのポイントを現在の日本プロ野球界で最も熟知しているのが「AJ」ことジョーンズだ。メジャー通算434本塁打をマークし、ゴールドグラブ賞を10年連続獲得と実績は十分。そのAJは楽天で1年間、共に戦ったエースの能力を誰よりも高く評価している。「AJは、田中の投球にとにかく驚いていた。シーズン中のある試合で、ストンと落ちた147キロのスプリットに『アンビリーバブル(信じられない)!』と繰り返し叫んでいたこともあったね」(チーム関係者)

 しかし、その一方でAJは次のような注文を付けることも忘れなかったという。

「メジャーはローボールヒッター(低めに強い打者)が多い。低めのスプリットは簡単に見逃すし、甘く入ればスタンドまで持っていく。いくらボールを動かしても、高めのコースを使えないと通用しないんじゃないかな」

 これまで奪三振を量産していた田中の武器であるスプリットも今までと同じ意識のままでは、通じない可能性があるというのだ。順応する手段として「AJは『高めに強い直球を投げられるかどうかが鍵だ』と言っていました。スプリットやツーシームは、直球を高めへどんどん投げて、相手に意識付けさせて初めて生きてくる」(別のチーム関係者)とも強調していたという。

 日本人投手は“ボールを低めに集めれば大ケガしない”という考えにとらわれがち。そういう意識を一度リセットし、高めの直球も磨かなければならない。それがメジャーで大成する条件というわけだ。

 昨季の田中はチーム内外で「直球で押す本格派になった」ともっぱらだった。直球をさらにレベルアップさせれば、メジャーでも必ず成功する――。AJからの金言を田中はどう聞くか。