どの名将もやらなかった原監督の非情采配

2013年09月25日 16時00分

選手に対して厳しい目を持ち続けた原監督

【伊原春樹 鬼の手帳】今年の巨人の強さは予想通り。誰も驚かない、まずは順当な結果といえるだろう。だが、そんな今年の巨人の戦い方は、私の想像の域を超えていた。特に驚かされたのは原監督の采配で「そこまでやるか」というほど、徹底したものだった。

 これまで「優勝候補の大本命」と目されるチームの戦い方で理想とされていたのは不動のオーダー。得点方法や継投などに「必勝パターン」と呼ばれる“型”をつくり、白星を積み重ねていく。もちろんレギュラーはがっちり固定…となるのだが、今年の巨人の野球はどうだ。「不動」どころかオーダーはコロコロ変わり、一、二軍の入れ替わりも激しい。はたからみたら「いくらなんでも変えすぎじゃないか」と思えるほど、今年の原監督は動いた。

 それはなぜかと考えれば、開幕前に原監督が私に打ち明けた言葉に思い当たる。今季の目標について「もちろん優勝です」と返すところを、原監督は「絶対に優勝します。今年は『必ず優勝するんだ』というさらに強い意識を選手に植えつけます」と言った。だからいくら余裕がある戦いをしていても、選手に対して厳しい目を持ち続けた。

 レギュラーといえどもちょっと調子を落とせばすぐに打順を落とし、ベテランも容赦なく二軍に落とした。先発を中継ぎにしたかと思えば、守護神もあっさり降板させる…。もちろん、そこまでしなくても優勝はできたろう。だが、今年の原監督は、今までのどの監督とも違う“采配の形”を見せてくれた。歴代「名将」と呼ばれた監督はたくさんいるが、私は今年の原監督のような采配をした監督を知らない。それに私は驚かされた。

 早い時期に優勝が決まったということもあり、今後は消化試合も多く、CSのファイナルステージまで「待ち」の時間が非常に長くなる。だが、楽勝のペナントレースを原監督の“非情采配”の下で常に緊張感を持って戦い続けた経験はきっと生きてくるはずだ。

(本紙専属評論家)