虎軍団を救った榎田の“無趣味主義”

2013年07月18日 16時00分

4回、矢野(左)を内野ゴロに打ち取って満塁のピンチを乗り切りガッツポーズをする榎田
4回、矢野(左)を内野ゴロに打ち取って満塁のピンチを乗り切りガッツポーズをする榎田

 阪神が17日の巨人戦(甲子園)に9―6と辛勝した。前日まで首位決戦4連敗を喫しており、もし負ければ逆転Vの夢も一気にしぼむ危機的状況。絶対に負けられないというプレッシャーの中で先発・榎田大樹(26)が6回1失点と好投し、勝利に貢献した。この崖っ縁の虎軍団を救った強靱な精神力の源となっているのは徹底した“無趣味主義”だった。

 

 和田監督は「甲子園で3連敗するわけにはいかない。今日は絶対に負けられない試合だった。ゲーム差が4・5と2・5では後半戦の戦い方が全く違ってくる。本当に大きな1勝」と前半戦の最終決戦で一矢報いたことを評価した。

 

 ところが、この大事なマウンドを任された榎田は「正直、自分の中では自分の流れかな、と思っていた」と涼しい顔で振り返った。他の選手が大一番で緊張感を漂わせている中、どうやって平常心を保っているのか。実は榎田は独自の“精神コントロール法”を実践していた。

 

 その1つが「無趣味」に徹することだ。普通ならグラウンド外でしっかりと気分転換をするためにも趣味を持とうとするものだが、あえて榎田は「現役でいる間は趣味を持ちたくないんです」と逆の手段を選択。意図的に趣味を持たないようにする徹底ぶりだ。榎田はその理由をこう力説する。

 

「自分みたいなタイプは趣味を持つと趣味に追われてしまうような気がするんです。例えば趣味があると休みの日でも“あれを買わないと”“あれを見ないと”“あそこに行かないと”と思ってしまう。結局それがストレスになってしまう。だから、今は特に趣味を持たず、その日にやりたいことをするようにしているんです。とにかく休みは休むことを優先しています」。

 

 マウンドでは重圧、不安、葛藤といった雑念とも戦う必要がある。こうしたものを振り払うにはできる限り自身の投球に集中するしかない。そのためにもストレスにつながる危険がある趣味も排除し、休日は完全にスイッチオフ。本業の野球に専念できる状況を生み出そうとしているのだ。

 

 これで榎田は今季、巨人戦4試合に登板して3勝0敗、防御率0・64とGキラーぶりを発揮。すでに和田監督も「大型打線を抑える術を知っている。これだけの投球をしてくれれば後半戦も…」とシーズン終盤の天王山でも切り札として榎田を先発させるつもりだ。プレッシャーに強い“無趣味男”が逆転Vの使者となるかもしれない。