二刀流本格デビュー大谷に危険球リスク

2013年06月20日 16時00分

2回表、野村から右翼線二塁打を放つ大谷(左)

 日本ハム・大谷翔平投手(18)が18日の広島戦(マツダ)で本格的二刀流デビューを果たした。「5番・投手」でスタメン出場すると、投手として4回3失点、打者として3打数1安打1打点。自身に勝敗はつかなかったが、チームの7―4の勝利に貢献した。一方、その裏では「危険球対策」という課題も明らかに。球界に新たな歴史を刻んだ黄金ルーキーの行く末はいかに――。

 

 同じ試合で先発登板して、中軸を打って、外野を守るというフルメニューが実現したことで二刀流は大きく前進した。

 

 今後は栗山監督が「本当の二刀流」と定義するパ・リーグ公式戦での投打両面起用、野手として先発出場しながら投手にスイッチする究極のリリーフ登板が今季中に実現するかが期待される。現実的にDHに座る外国人の出場機会を削る形にもなるため、その可能性は低いだろうが、栗山監督は否定しなかった。

 

「翔平が自分でつかむこと。今までの流れを見たら自分で結果を残してつかんできている。DHに入る打者より翔平の方がいいと認めさせないと。つかめる可能性のある打者なのは間違いない」

 

 この日放った12本目の二塁打で依然3割2分9厘の高打率をキープする「打者・大谷」次第ということだ。

 

 その一方で大谷の二刀流が進化すれば相手の警戒レベルも上がるため、新たな問題も出てくる。その一つがより厳しい内角攻めだ。本紙評論家の大友進氏はこう話す。

 

「チームの主軸を打つ大谷が今後も登板試合で打席に立つことになれば、投手として調子を崩されるのはマウンドだけではなくなる。自分の打席で厳しく内角を攻められたら投手として相手の内角を厳しく攻められなくなる可能性も出てくる。打てる投手が打席に立つということは、打席で投球を狂わされるリスクも出てくるということ」

 

 確かにこれも二刀流ゆえのリスクだろう。黒木投手コーチも「打席に立つ以上、あらゆるリスクはゼロではない」としながらこう続けた。

 

「打席で(投手・大谷を)崩そうと思えばこの辺でしょ(と肩から頭部付近を指さした)。その下では打者としては崩せますけど恐怖心は植えつけられない」と想定しているのだ。

 

 とはいうものの黒木コーチは注文を付けることも忘れなかった。「相手がどう考えるかという問題。球界全体で育てようという視点に立つのか、あくまで勝ち負けだけにこだわるのか。勝負の世界である以上、それはこちらではコントロールできない。ただ、どういう意図を持って投げられた球なのかは見れば分かる」。そして「その時は大谷を守らなければいけない」と強い言葉で締めくくった。

 

 この日の試合では3回に投手・大谷の手元が狂い、エルドレッドに死球を与えた場面があった。ヘルメットを叩きつけて怒りをあらわにする相手主砲に対し、大谷は平身低頭。すぐに帽子を脱ぎ翔平スマイルで謝意を示し大事には至らなかった。大谷は「抜け球だったんですけど(打者の)手元ですごく危ない所だった。ただ前に稲葉さんがいたので安心感があった」と笑いを誘ったが、この逆の状況が発生した場合、黒木コーチは用心棒として立ち上がる覚悟を固めている。