長野の大爆発呼んだ「村田9番」

2013年06月13日 18時00分

 そのバットに火をつけたのは、指揮官による巧みな選手操縦術だったようだ。打率2割3分台と不振にあえいでいた巨人・長野久義外野手(28)が、12日のオリックス戦(京セラ)で9号ソロを含む、4安打3打点と大爆発。7―1の快勝劇に貢献した。悩める切り込み隊長を奮起させたのは不遇に耐える先輩の背中だった。

 

 

 追い込まれたときほど燃えるのが長野だ。10試合ぶりに定位置の1番に座ると、1打席目に右前打。5回には2点目を叩き出す中前適時打を放った。

 

 その裏の守備で一死二塁から坂口の飛球を飛び込んで後逸する失態を演じたが「何とか取り返そうと思った」と7回に中越えの9号ソロ。8回にも二死満塁から左前適時打を放った。文句なしの働きには、原監督も「本人は悪戦苦闘しながら、向上心を持ってやっている。今日のような日があれば、新たなステップアップの材料になるのでは」と目を細めた。

 

 そんな試合の中で、この日最大のサプライズだったのが「9番・三塁、村田」。本塁打王2度の強打者が、後がない打順に降格されたのだ。これが長野にとっても相当なプレッシャーになったことは想像に難くない。

 

 2人は原監督が“枢軸”と位置付ける打者で、気の合う日本大の先輩後輩。だが、先日の懲罰交代を始め、指揮官が普段つらく当たるのは村田の方だ。先輩が自分の盾になってくれているように感じていた長野は「僕の方が打てていないんですけどね。村田さんには申し訳ない」と話していた。9番降格で崖っ縁に立たされた先輩の姿に「僕がカバーしなければ」と燃えたのだろう。村田の9番について原監督は「チーム最善策」と語ったのみ。そのプライドを考えれば“危険な用兵”とも言えるが、結果的に長野の奮起を促すことはできた。あとは副作用がないことを祈るばかりか。