巨人連敗ストッパーは“超不遇男”

2013年06月05日 16時00分

 巨人が連敗を5で止め、1日で首位を奪回した。7―3で勝利した3日の西武戦(西武ドーム)のヒーローは、入団6年目で初の1番に抜てきされた中井大介内野手(23)。2安打2打点の活躍で、湿っていた打線に火を付けた。巨人きっての“不遇男”にやっと光が見えてきたか。

 

 寺内の適時打で3―3と追いついた4回二死二塁、右前に値千金の勝ち越し適時打を運んだ。その後、6回にも右前へ適時打を放った中井は、試合後のインタビューで「本当にうれしい」と声を弾ませた。プロ初の1番起用には驚いたというが「一番最初に打席に入るだけと割り切っていった」と胸を張った。

 

 中井に触発された打線は阿部と村田に本塁打が出たのを始め、先発全員安打の爆発。原監督も満足そうに「若い選手が非常にいいところで打ってくれた。レギュラークラスに対して活を入れてくれた」と目を細めた。

 

 中井がここまで来るまでの道は平坦ではなかった。一軍に昇格しても、打席に立つ機会すら与えられず数日で降格になったことは一度や二度ではない。それでも「今度はファームで“8割”打ってきます!」と言い放てるポジティブさを武器にはい上がってきた。

 

 そもそも中井にとって不幸だったのは、同じ三塁のポジションの1年後輩に大田がいたことだった。華々しくドラフト1位で入団した背番号55は球団期待の“強化指定選手”。大田を上回る活躍を見せても、出場機会には恵まれなかった。

 

 そんな姿を見ていた他球団の編成担当の間では中井は常にトレード候補の一番人気だった。右打者で長打力がある選手は希少。しかも若い。「使わないなら譲ってくれ」という話が舞い込むこともしょっちゅうだった。

 

 一方では大田の存在が中井を“スーパー便利屋”に育てた。大田が三塁に固定されていた間、生きる道を他のポジションに求めた。実は今季、二軍では三塁しか守っていない。だが一軍昇格後は3種類のグラブを持ち替えて左翼、一塁、二塁と次々変わるベンチの要求をこなした。

 

 さすがに捕手は無理としても「後は遊撃だけだね」と関係者が冗談で話しかけたことがある。すると中井は「試合に出られるなら、僕はショートだって守りますよ」と真顔で返していた。

 

 原監督は今春のキャンプ中、大田を新1番に据える構想を温めていた。だが大田はその期待に応える結果を残せなかった。その1番の座を、同じタイプの中井に任せた意味は非常に大きい。

 

 とはいえ、5日の日本ハム戦からはボウカーの復帰が確実な上、谷も戻ってくる可能性がある。実績に劣る中井としては、与えられたチャンスで打ち続けるしかない。“大田超え”を果たしても、レギュラー奪取の道はまだまだ険しい。