杉内快挙の裏で「外様の18番」論争

2012年06月03日 12時00分

 5月30日の楽天戦(東京ドーム)で、プロ野球史上75人目のノーヒットノーランを達成した巨人・杉内俊哉(31)。相手エース・田中将大(23)との投げ合いも見事に制した左腕は、FA移籍入団から球団内外でくすぶっていた〝背番号18論争〟の風向きを自らの力で変えてみせた。

 FAでの杉内獲得に奔走した原沢球団代表も喜びを隠し切れない。

「背番号18をつけるということになったとき、彼は『新しい歴史を作りたい』と言っていたけど(歴史の)1ページ目は開いたんじゃないかな」と珍しく興奮した様子だった。

 杉内に背番号18を与えるにあたっては紆余曲折があった。まず反発したのはOBだ。元エースの上原(レンジャーズ)は「生え抜きに付けて欲しかった」とブログで苦言。先代18番の桑田氏も、杉内に渡すことは了承したが「次の18は生え抜きの右投手がつけてくれるもの、誰がつけるのだろうとワクワクして待っていただけに少し残念」と「個人的な本音」を漏らした。

 開幕して以降、杉内が勝ち星を積み重ねていっても、球団には「巨人の18番を何だと思っているんだ!」などといった内容の、オールドファンからの抗議電話やメールが届いていたという。それだけに、今やパ・リーグを代表するエースとなった楽天・田中との〝18番対決〟を制し、快挙を成し遂げた意味は、杉内にとって大きかった。

 ただしこの日のピッチングで背番号問題に決着がついたわけではないのは、杉内自身も重々理解している。「ノーヒットノーランをするために巨人にきたわけじゃない。1年間しっかり活躍して、みんなに認めてもらうのが目標」「ノーヒットノーランは今日だけの喜び。明日になれば過去になる。次も勝たないといけない」と言い切った。背番号の重圧が薄れたかと聞かれても「重さを感じないというのはない」とおごりもない。

 とはいえこの日のような快投を重ねていけば、外様に厳しいOBやG党の視線もいずれは変化するもの。時間がかかるかもしれないが、この日以降〝外様の18番〟への抗議電話がグッと減ることは間違いない。