【センバツ】習志野「サイン盗み」疑惑に思う 「正々堂々」強調しすぎると失われるもの

2019年03月29日 16時30分

抗議を受け話し合う審判団

【デスクの目】高校野球で「スパイ疑惑」の話題が出るたび、正直「またか」「もっとうまくやれよ」と思う。もちろんルールで禁止されていることをやるのはフェアじゃない。とにかく正々堂々。だが、しょせんそれは「キレイごと」だというのは、高校野球に携わる多くの関係者が思っていることではないか。

 当然、ルールを守っている人たちにとっては「けしからん」ということになるが、試合中に「ルール違反」の決定的証拠を突き付けることができない以上、これはもう、盗まれないように自衛するしかない。そこも含めての「野球」。「サインは盗んじゃいけないことになっているから」と、簡単なフラッシュサインしか出さない高校などは危機管理がなさすぎて、そちらの方が問題ではないか。

 確かに試合中の抗議はするべきだ。だが、それは相手を「こっちは分かってますよ」とけん制するため。すべてが終わった試合後に騒ぐのでは、負け惜しみになってしまう。

 だからといってむちゃをやりすぎると、多くの敵をつくることになる。習志野は過去のラフプレーなどのマナーや、やじの内容などから、良く思っていない高野連関係者が複数いることは知っている。テレビ中継で打者の顔がアップになっているのに、打席でチラチラ三塁コーチを目で追っていることもあった。三塁コーチが捕手のサインを盗んで打者に伝達していると思われても仕方なく、それでも「サイン盗みなんかしていない」と否定すれば済んでしまう。ただ処分はされないが、周囲の印象は悪くなる。つまりはやり方が悪いのだ。そこは今回の一件も含め、習志野が反省すべき点ではないか。

 では相手をビデオで研究して、クセを盗んだりするのはどうか。現在、県によってはネット裏からのビデオ撮影を禁じているところもある。理由は「偵察行為は正々堂々ではない」から。この流れが進めば、全国的に試合中のビデオ撮影が禁止になり、そのうちスタンドでの野球部員の観戦も偵察行為でNGになるのだろうか。

 あまりに「正々堂々」を振りかざしすぎると…。野球の醍醐味が損なわれてしまうのではないかと心配している。

(運動部デスク・溝口拓也)