45歳の決断・イチロー引退で日米の政界がアプローチ

2019年03月23日 11時00分

試合後、笑顔でファンに応えたイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(45)が21日のアスレチックス戦(東京ドーム)に「9番・右翼」で先発出場。三邪飛、二ゴロ、見逃し三振、遊ゴロの4打数無安打で終わった試合後、現役引退を表明した。1時間20分にも及んだ会見では、今後については未定としながらも、一時代を築いたレジェンドの行く末には各界が興味津々。早くも日米の政界が動きを見せていることが分かった。果たしてイチローが目指すものは何なのか。「国民栄誉賞3度目の辞退」という声も飛び出して…。 

 レジェンドがついにユニホームを脱いだ。母国・日本でのラストゲームを終えたイチローの表情はさわやかだった。

 会見場では、大挙して集まった報道陣に「こんなにいるの? びっくりした」とおどけると「今日のゲームを最後に日本で9年、アメリカで19年目に突入したところだったんですが、現役生活に終止符を打ち、引退することとなりました」と続けた。

 今後については「何になるんだろうなあ。そもそも片仮名のイチローってどうなんだろう。元イチローってどうなんだろう。オレ、一朗だし…」と言いながら考え込んだ。

 しかし、これほどのスーパースターを世間が放っておくはずがない。まず、政界では「日米を股にかけ、数々の功績を残したイチローこそ国民栄誉賞にふさわしい」との声が与党内から出ており、引退を受けて近々にも授賞の打診を図るものとみられている。

 実際、イチローは過去、メジャー1年目でア・リーグMVPなどを受賞した2001年、そしてメジャー最多安打記録を更新した04年の2度、国民栄誉賞を打診されているが、いずれも辞退。その理由が「いただけるのなら引退した時にいただきたい」(01年)、「今の段階で国家から表彰を受けると、モチベーションが低下する」(04年)とのことだった。

 そこで引退した今なら…というわけだが、イチローを古くから知る米在住の関係者は「彼の性格ならば、まず間違いなく断る」と言い切り、その理由をこう続けた。

「国民栄誉賞はあくまでも日本の中で評価されること。でもイチローはあえて日本を出て、メジャーリーグという外国の舞台で日本人がどこまで評価されるかに重きを置いていた。だから、まったく興味もないし、見向きもしないはず。松井(秀喜氏)もすでに受賞しているしね。それより興味があるのは『米野球殿堂入り』と『次期米国大統領候補との面会』の方でしょう」

 確かに国民栄誉賞は日本人として最高の栄誉だろうが、野球界からはすでに王貞治氏、衣笠祥雄氏、長嶋茂雄氏、松井秀喜氏の4人が選ばれている。しかし、米野球殿堂に選ばれた日本人はこれまで誰一人としていない。現役引退から5年後に選考資格を得ることになるが、イチローの日本人初選出はほぼ確実。“パイオニア”として高い評価を得ることは間違いない。

 そして「次期米国大統領候補」というのは、ワシントン州のジェイ・インズリー知事(68)のこと。同知事が引退後のイチローと直接対面の場を設け、何らかの形で特別表彰することを検討中ともっぱらなのだ。

「インズリー知事は民主党からトランプ大統領の対抗馬として、来年の大統領選挙への出馬を表明している人物。まずは民主党内部での候補指名争いに勝ち上がる意味でも、州内での基盤を固めたい。州内最大都市のシアトルで今や英雄となったイチローをねぎらい、人気取りに走りたい意向もあるようだ。いずれにせよシアトル近郊に自宅を構えるイチローにとっても事実上の“次期大統領候補”からのラブコールは栄誉なこと。断る理由は何もないでしょう」(前出の関係者)

 お近づきになるべきは、日本の政界よりも米国の政界ということか。そして「国民栄誉賞を3度断った男」という肩書も、イチロー以外は誰も得ることはできないだろう。会見の最後で「じゃあ、そろそろ帰りますか。ね、皆さん、眠いでしょ」と締めたイチロー。サプライズの続きは現役引退後も、まだ見られそうだ。

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