【前田幸長・直球勝負】やはり巨人復活のキーパーソンは、この男だ。巨人・坂本勇人内野手(30)がプロ13年目の開幕を前に闘志を燃やしている。オープン戦ではなかなか打棒の調子が上がっていないものの、8日のオリックス戦(京セラドーム)では初回に先頭打者本塁打を放つなど複数安打をマーク。そんなキャプテンが本紙評論家・前田幸長氏に打ち明けた胸中とは――。

 背番号6にかかる期待は大きい。しかし、オープン戦の成績は11日現在、打率1割9分。8日のオリックス戦で先頭打者弾を含むマルチ安打を放ったものの、まだ完全復調とは言えないのが現状だ。

 それでも周囲の心配をよそに坂本勇に焦りはない。今年は春季キャンプで猛烈に追い込んだ自信があるからだ。

 チームの中心選手、そして主将として臨んだ今年のキャンプは、どうだったのか。私の問いかけに坂本勇は、こう振り返った。

「キャンプは追い込みました。クタクタになりながら。とにかく自分でも、体力的に追い込むようにしていました」

 坂本勇ほどの実績と経験のある選手なら「追い込む」必要はない。それでも自分自身をいじめた理由は一体何なのか。

「普段からキャンプ(での調整法)は任されてるんじゃなくて、自分でやっておかないと持たないんじゃないかと。そこに甘んじてはいけないから。やっぱり体力的なところで(若い時と比べて)回復が、ちょっと自分の中では遅くなってきたなというところもあります。だから自分でもキャンプは追い込むようにしようと」

 巨大補強で丸らが加わったが、やはり生え抜きの中心選手として自分こそがチームをけん引しなければいけない。その自覚もまたヒシヒシと伝わってきた。

 現役時代、練習をどうやって休もうかと考えていた自分はともかく、私が接した一流の選手たちは皆、自身を追い込み、そして結果を残してきた。まだまだ、坂本勇は安泰だろう。

 5年ぶりのリーグV、さらに7年ぶりの日本一奪回に向け、しっかり「準備」を済ませたキャプテンの大暴れが期待される。