昨年末に大腸がんと判明し、1月末に手術を受けた阪神・原口文仁捕手(27)が7日、兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場でトレーニングを開始した。早朝には甲子園球場で矢野監督ら首脳陣にもあいさつ。縦じまのユニホーム姿で報道陣の取材に応じ「ファンの方々からも激励の言葉をたくさんいただき感謝しています。ユニホームを着るということは野球選手にとってお正月のようなもの。少し遅れてしまったが、迎えられてよかった」と笑顔を見せた。

 首脳陣や同僚もエールを惜しまない。矢野監督は「甲子園で暴れ回る姿を見せることができると思う。信じて待つ。でっかくなって帰ってくるんじゃないかな」と話し、平田二軍監督も「(対面した際に)『そんなに寂しい顔をしないでくださいよ』と言われちゃったよ。グッチ(原口)に苦言を呈された」と冗談交じりに喜びを表現。同級生の岩崎も「(術後)初めて会えたのでホッとした。元気そうで良かったです」と胸をなで下ろした。

 誰からも愛される男らしく、みんなが復活を望んでいる。ただの励ましだけでなく、戦列復帰してもらわなければ困るという切実なチーム事情から、チーム関係者の中には「原口の打力はうちの野手の中でもトップレベル。もちろん無理はすべきではないし焦ってはいけないが、今季を戦う上での戦力としても貴重な選手なので早くグラウンドに戻ってきてほしい」との声まである。

 阪神は打線が振るわずオープン戦4戦全敗。期待の若手野手もアピールできていない。昨季、代打安打数の球団記録に並ぶなど打力に定評のある原口は純粋に必要不可欠な戦力なのだ。

 原口本人も「必ず今年中に一軍に戻って活躍したい。お立ち台に上がってやりたいこともある」と誓っている。育成契約から再度支配下登録を勝ち取るなどこれまでも逆境を乗り越えてきた。今回も完全復活してくれるはずだ。