まさかの告白だ。キャンプ不参加だった巨人のスコット・マシソン投手(35)が1日、自宅のある米国から来日した。ただ、表情は曇り空。今オフは左ヒザ手術のリハビリに加えて“原因不明の病”との長い闘いを強いられていたことを明かした。無事回復したものの調整遅れは否めず、現状ではチーム構想から外れている。外国人枠争いも激化するなか、契約最終年の助っ人は居場所を取り戻せるのか――。

 成田空港に降り立ったマシソンは球団関係者の迎えに笑みこそ浮かべたが、報道陣に対しては終始沈痛な面持ちだった。昨年8月にクリーニング手術した左ヒザの回復は順調としたが、11月ごろから原因不明の体調不良に見舞われていたことを打ち明けた。

 肝臓の数値が跳ね上がって何日も高熱が続く状況に、医師からは一時、がんの可能性を指摘されたという。「パニックになったし、ひどく落ち込んだ。家族にも打ち明けることができず、つらかった」。12月中旬に入院して首のリンパ節を切除して精密検査した結果、心配された悪性リンパ腫ではなかったが、その後も病の原因は分からないまま、不安な日々を過ごした。本人によれば、およそ48日間も高熱やひどい体調不良に苦しみ、入退院を繰り返していたという。

 ようやく病名が突き止められたのは年が明けてから。医師から告げられたのは、マダニにより媒介されるバクテリア感染症の一つである「エーリキア症」。その影響で免疫機能が低下し、他のウイルス性感染症も併発。抗生剤を中心とした治療が始まり、本格的にトレーニングを再開したのは「ここ数週間」という。それでも現在は体調も回復。今後はチームの指示に従いながら、最低でも6月中の一軍復帰を目指すとした。

 だが、マシソンの意気込みとは裏腹に、巨人8年目の立場は限りなく厳しい。一軍の外国人枠は4つ。投手は新守護神候補のクック、メルセデスが“当確”で、残る2枠を野手のゲレーロとビヤヌエバ、先発候補のヤングマンが争う展開となっている。マシソンの名前は現状どこからも挙がってこない。

 原監督もマシソンについては「東京ドーム(2日)には来るみたいだよ」としたが、状態や今後については「トレーナーに聞いて」とコメントしたのみ。球団内の見立ても冷めている。チームスタッフは「監督は今回の病気がなくとも、マシソンの働きには懐疑的でした。クックが加入したこともあるし、よほどの活躍がない限り、マシソン自身も今オフの契約延長はないと感じているでしょう。彼が以前から話しているように、カナダ代表として東京五輪出場を花道とすることが現在のモチベーションでは」とした。

 この日は「自分が大丈夫だったからといって、深刻な病に苦しんでいる人たちもいる。単純に良かったとは喜べない」と取材中は硬い表情を崩さなかった心優しき右腕。ファンに向けては「チームの優勝に少しでも役に立てるよう頑張っていきたい。体調が完璧に戻るまではチームメート、他の外国人選手を応援することが自分の仕事。コンディションさえ戻れば、一軍に戻る自信は100%ある」と力強いメッセージを発したが…。G党支持率も高いマシソン。苦境を打破し、復活を果たせるか。