【核心直撃】このオフに西勇輝投手(28=FAで阪神)、金子弌大投手(35=自由契約で日本ハム)、中島宏之内野手(36=自由契約で巨人)、小谷野栄一内野手(38=現役引退)という主力4人がチームを去ったオリックス。にもかかわらず大きな補強はなく「今年のオリックスは厳しい」とささやかれている。フロントは現状をどう捉えているのか。2016年からチーム編成を担う長村裕之球団本部長(60)に聞いた。

 ――主力4人が一気にチームを去り、戦力面では大幅ダウンとなった

 長村本部長 本当にそうでしょうか。主力4人が抜けたのはマイナスに見られがちですが、私はそう思っていません。チームには今、脂の乗り切った選手や成長が楽しみな選手も多い。特に若い投手が成長している。私は主力が抜けても、大丈夫だと思っています。

 ――これまでは大型補強のイメージがあったが、長村さんが編成トップに就任以降、若手育成に力を注いでいる。なぜ方針転換したのか

 長村 一番は現場との意見交換からです。チーム編成はフロントが主導する必要がありますが、やはり現場がどういう野球をするかが重要。昨季までの福良監督、今季から指揮を執る西村監督が、どういう戦いをしたいのか。その意向を踏まえての編成なので。補強を控えているわけではありません。実際、外国人選手も獲得していますよ。

 ――4人の主力が去ったのは、チームづくりを反映してのものなのか

 長村 小谷野に関しては引退なので仕方がありませんが、他の3人は放出とかではなく、本音で言えばチームに残ってほしかった。でも、彼ら3人も(移籍する)権利があるわけですから。そこはもう仕方がない。

 ――大型補強をせず若返りを図ったチームに対し、周囲の下馬評は低い。優勝を狙えると思うか

 長村 私はできると思います。

 ――その根拠は

 長村 投手、野手ともにここ数年で力をつけた選手も多いですし、今まで力を試す機会がなかった選手に、今季は出場チャンスが巡ってくる。そうした選手がレベルアップして活躍すれば、優勝争いはできる。昨年も前半戦は投手陣を中心に若手主体でAクラス争いをしましたからね。それに一年だけ勝てばいいわけではない。土台づくりをしっかりして、常に上位争いができるチームづくりをしていかないと。その最中でも、勝てるチームであると信じています。

 ――他球団からは「オリックスは育成に力を入れているから今年は厳しい」との声も

 長村 そう捉えられても仕方がない。でも、どう思われようが関係ない。むしろ若い選手たちがどのぐらいやるかの方が楽しみです。私自身、今の立場(本部長)になって3年目ですけど、若返って元気があるチームに生まれ変わった。キャンプでも声が出てたり、これまでとは少し違う雰囲気が出てるでしょ。

 ――周囲の評価を覆す

 長村 そうです。それに現場が必要ならシーズン中の補強も考えます。現場、フロントが一丸になって戦いますから。まあ、見ててくださいよ。