巨大補強にも“埋めるべき穴”はあるようだ。巨人の宮崎春季キャンプは8日、第2クール2日目を迎えた。投手陣もエース・菅野智之(29)を中心に順調な調整を続けているが、その中で首脳陣は意外にもメンバーのやり繰りと起用法に頭を悩ませている。本紙で「孤高のサウスポー」(月~木曜)を連載中の巨人OB・新浦壽夫氏が古巣のキャンプ地を訪問。原辰徳監督(60)と水野雄仁投手コーチ(53)が同氏に吐露した本音とは――。

 やはり原監督はジャイアンツのユニホーム姿がよく似合う。グラウンド上であいさつすると、笑顔で「大先輩! どうぞお上がりください」。手招きされ、やや恐縮しながらも通称「原タワー」に並んで座らせてもらった。新戦力の丸らが打撃ケージに入って快音を響かせる中、私は雑談を交えた後に「菅野が頭だけど先発ローテーションはどうなの?」と単刀直入にシンプルな質問をぶつけてみた。すると原監督は少し間を置きながら、こう答えたのである。

「4番手、5番手がいないですねえ」

 実は、この直前にも私はブルペンで水野投手コーチとも話し、彼も同じようなニュアンスのことを口にしていた。現状で考えればエースの菅野を筆頭に山口、メルセデスの3本柱がローテの主流になる。しかしながら、その他の候補メンバーが未確定だ。

 2年目助っ人のヤングマンはそれなりの評価を得ているが、外国人選手枠の関係を考えれば「ローテ当確」とはさすがに言い切れない。助っ人野手との起用バランスと照らし合わせると、先発する当日に出場選手登録され、翌日には抹消されるという、いわゆる“投げ抹消”を繰り返さなければいけないケースが当然出てくるだろう。加えて前マリナーズのベテラン・岩隈も手術を受けた右肩の回復具合は未知数だ。

 水野コーチは「そのためには今村や田口、そういう選手が前に出てきてくれればいいですね」とあえて具体名を挙げながらハッパをかけていた。今村はプロ7年目の昨季、初完投初完封を含む最多の6勝をマーク。ようやく一皮むけつつある。ただ一方の田口はそれまで順調に育っていたもののわずか2勝(8敗)止まりで3年連続2桁勝利を逃し、プロ4年目で大きな壁にぶち当たった。明暗を分けた若き両左腕が安心して先発マウンドを任せられる柱にならないと、巨人の今季ローテは一気に苦しくなる。

 今季の理想的な戦い方として水野コーチが「先発ローテは5人で回ってくれれば」と明かしていることからも、その懸念は分かる。

 ブルペンも安心はできない。リリーフ陣を支えるマシソンがチーム内で「4月までは無理かもしれない」とささやかれている現状を考慮すると、首脳陣としても悩みどころだろう。

「抑えや中継ぎのチェンジをしなければいけないかもしれないですね。抑え(候補の)クックをどうするか。澤村をどうするか…。沖縄で試合があるので、そこでの結果を重視していきます」とブルペン担当の水野コーチも苦悩をチラつかせながら、最後は言葉に力を込めた。

 巨大補強が敢行されても、投手陣についてはチャンスをつかむスキがある。若手の高田と大江、そしてドラ1ながらくすぶっている鍬原や桜井あたりにも個人的には猛奮起を期待したい。