阪神の合同コーチ会議が23日、兵庫・西宮市内の虎風荘内で行われ、春季キャンプの一、二軍の振り分けが決まった。例年より多い43人を一軍に帯同させる矢野燿大監督(50)は「どんどんアピールしてほしい。グラウンド上でいい人では困る。グラウンドに出たら相手から嫌がられるようになってほしい」とナインの奮起を促した。

 福留、糸井ら実績組を除いたほとんどのポジションが空席状態とあって競争はシ烈を極めるが、生き残りに向けてものをいいそうなのが“思考力”だ。かねてナインに自主性を求める指揮官は「本当に自分がどうなりたいか考えてほしい」と強調。清水ヘッドコーチも「自分の考えがない限り、伸びないというのが矢野監督の考え。このようなトレーニングをしたいと選手から提案してほしい」と訴えた。

 今回のキャンプでは全体メニューの他に“自主練習時間”を設定。新人以外は自ら練習内容を考え、実行しなければならない。金本前監督時代は若手を一から強化するため、厳しい練習メニューが課される肉体的にハードなキャンプだったが、矢野流ではマネジメント能力も求められる。“指示待ち”では、すぐに二軍落ちの危機になってしまう。

 この方針は首脳陣やスタッフにも徹底されており「選手が自分で考えることが重要なので、最低限のこと以外、こちら側から『あれをやれ、これをやれ』と口出しをしないようにする」(チーム関係者)と、上から余計な指示をすることはない。

 矢野監督は「終わってから、また楽しみが増えているようなキャンプにできたらいい」と胸を躍らせているが、自己管理のできない選手にとっては厳しいキャンプになりそうだ。