オリックスが早くも巻き返しのそろばんをはじいている。金子、西、中島ら経験者が抜け、大きな補強もできず、このままなら若手主体の戦いを強いられる。それでも球団内では「ぱっと見は苦戦しそうだけど、そうでもない。十分戦える」の声が上がる。なぜか…。

 それは優勝した1995年のメンバーとあえて比較することで勝機を見いだすというもの。この年はイチローが3割4分2厘、守護神の平井が15勝、27セーブを挙げる大活躍を見せたが、チーム関係者は「あの年、その2人以外はずばぬけた成績ではなかった。野田(10勝7敗)、星野(11勝8敗)、長谷川(12勝7敗)は2桁勝ったけど、むしろ他の投手に勝ち星が細かくついたことが大きかった。これはいかに仰木監督のやりくりがうまかったかということ。うまく回せばいけるんですよ」と力説する。

 先発で規定投球回をクリアしたのはこの3人だが、それ以外の小林(8勝)、高橋(7勝)、伊藤(6勝)、佐藤(4勝)らの白星が戦況を有利にした。「そう考えたら今の投手陣も大きな数字を目標にしなくても少しだけ頑張ればいいんですよ」。来季の先発候補でいえば今季9勝のアルバース、7勝の山岡、6勝の田嶋、4勝のディクソンだけでなく、2勝の松葉、1勝の東明、さらに未勝利に終わった榊原、山崎福らもプラス4勝程度を目標にする。「平井の分は増井と山本の2人で埋めてもらって…」。西村監督の采配次第でリリーフにも白星がつくはずだ。

 打撃面でも「当時の田口さんやニール、D・J、藤井さんとか打率は低かった。でも勝呂さん、福良さん、本西さんらがいかに勝負強かったかということ。こちらも監督のやりくりがハマれば勝負になりますよ」と見ている。

 捕らぬたぬきの何とか…とはいえ、仰木監督ばりの“西村マジック”が冴え渡れば、ひょっとするかも、だ。