オリックスからFA宣言し、阪神移籍が決まった西勇輝投手(28)が14日、大阪市内のホテルで入団記者会見に臨み「ファンと一体となって甲子園を熱くできれば」と話した。7日の交渉で4年総額10億円で合意し、背番号は「16」。そんな西に、会見に同席した阪神・矢野燿大監督(50)が厳命したノルマとは…。

 入団会見に臨んだ西は「自分が一番合っている球団が阪神。甲子園が広いので自分が有利なのかと思ったし、たくさんのファンが熱く応援してくれるので後押しされて投げてみたい」と決断した理由を明かした。だが、矢野監督の期待は具体的だった。

「勝利数は今まで12勝がマックス(キャリアハイ)だったが、13は勝ってくれると思う。13以上勝ってくれると、その頑張りを見てる若手にもいい影響を及ぼす」
 西にとって初めてのセ・リーグで、いきなりキャリアハイ…。それでも指揮官は「本当に欠点の見えにくい投手。コントロール、球のキレ、球種、けん制…。総合的に、すべてにおいてレベルが高い」。大崩れがない分、年間通じて計算できると踏んでいる。

 そんな矢野監督に、さらなる太鼓判を押したのが阪神OBで本紙評論家の遠山奨志氏だ。
「一部では阪神での重圧とか、10勝したら同じくらい負けるとか言われているけど、オレは全然できると思う。西は来年29歳と一番いい時。昔と違ってFAで他球団にも評価される今の投手は、ある意味変人で“バカまじめ”。振り回されることはない」

 その上で「技術的にも両サイドに投げ分けられる投球術を持っているし、パのような一発が多い強打者がセでいない分、もっと勝てる。緩急を使うのもうまいし、巨人で全盛期だったころの桑田みたいになれると思う。矢野監督は13勝と言ってるけど、投げるイニングを重視していけば15勝もいけるのでは」とまで言い切った。

 さらに「西が活躍すれば、他の投手がある意味余裕が出て勝ち星が増える相乗効果も出る。エースのメッセンジャーも来年は7、8勝できるかどうかの年だけに、西の存在が大きくなるはず」と手放しで褒めたたえた。

 当の西は「勝ち星もそうだが、そこは実際気にせずに自分が投げることをまっとうすればついてくる」と応じたが、やる気満々なのは確か。「虎の桑田」となってもらいたいものだ。