西武の人材流出 OBが指摘する悪循環

2018年12月05日 16時30分

渡辺SDでもこの流れは止められないのか

 西武の人材流出に歯止めがかからない。今オフも今季の打点王で主将の浅村栄斗内野手(28)が楽天へ、昨年までの主戦捕手・炭谷銀仁朗捕手(31)が巨人へとそれぞれFA移籍し、エース・菊池雄星投手(27)もかねて念願だったメジャー移籍を実現させようとしている。なぜ、こうなるのか。西武OBが示唆した球団の“裏の体質”とは…。

 スカウティングと育成力には常々高い評価を受ける西武だが、育てても育てても抜けて行く負の連鎖に、今のところ効果的な対応策はない。

 ここまでFA流出者は12球団最多の18人。来オフには攻守の要・秋山翔吾外野手(30)までもが、海外FA権を行使してメジャー挑戦する可能性に含みを持たせている。

 そんな現実は、内部に決してポジティブな影響を与えてはいない。実際、現場には「ウチは他球団のために選手を育てる委託の養成所じゃない。例えばやられっぱなしではなく、逆にFA戦線にこっちも参戦していくとか今、何かを変えなければこの流れはこの先も変わらない」という危機感があふれている。

 それというのも球団運営が、来年1月1日付で球団初のゼネラルマネジャー(GM)に昇格する渡辺久信シニアディレクター(SD)兼編成担当(53)に変わっても、全く負のスパイラルが収まる気配がなかったからだ。

 今オフから選手との交渉役を任された渡辺SDは浅村、炭谷の交渉に関し、これまでの「シーズン全日程終了後」という慣例をなくして早い段階から複数回にわたる交渉を重ね、誠意を尽くしてきた。だが、両者とも「SDには本当に感謝しかない」「球団の誠意は十分に伝わっている」という言葉とは裏腹に、それだけでは決定的な移籍の抑止力にはならない現実を提示してみせたからだ。

 ということはやはり、現場のフロントだけでは解決できない、重大な問題があるということなのか…。ライオンズから他球団への移籍経験を持つ西武OBの一人は、こう現場の声を代弁する。

「つまり単純なフロントの問題ではないということ。親会社を含めた大きな組織、オーナーシップの姿勢の問題ということでしょう。もっと言えばおカネの問題でもあるし、環境も他球団と比べて決していいわけではない。選手同士は本当に仲が良くていいチームだけれど、対会社となるとどうしてもこの球団に残りたいというものが足りない。会社側の価値観ではなく、もっとプレーヤーの目線に立った意識改革がなければ、いくら寮や室内練習場を180億円かけて改修したところで(選手流出の)抑止力にはならないと思う」

 改革すべき変化の本丸は、フロントがなかなか直言しにくい資金の出どころ、西武ホールディングスにこそあると、このOBは示唆している。