西武・栗山巧外野手(35)が3日、メットライフドーム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み700万円増の1億3700万円でサインした。更改後は1時間半以上、選手ロッカーにこもり自らのロッカー整理に費やした。一方で、すでに空になっている3人の“後輩卒業生”浅村栄斗内野手(28)、炭谷銀仁朗捕手(31)、菊池雄星投手(27)のロッカーを見た“ミスター・ライオンズ”は整理を終えた夕暮れ、偽らざる現在の心境をとつとつと語ってくれた。

 栗山:いま、ロッカー整理をガーッとしてたんですけど、その時は野球を忘れてましたよ。キリがないんである程度のところで妥協してきました。あと1回やったらみんなビックリすると思います。栗山さんのロッカーからモノなくなってるって(笑い)。

 ――イメージ的にロッカーがキレイそうだが

 栗山:いえ、汚いですよ。整理整頓は銀仁朗から学んだんですけど。アサ(浅村)よりはまだマシ。でも銀仁朗よりは全然という感じ。めっちゃキレイなんで。整理整頓だけはアイツから学んだ。

 ――森は

 栗山:森はねぇ、修業中じゃない? これから。キレイとか汚いとか評価したらかわいそう。

 ――少し寂しくなる

 栗山:信じられないですよね。アサとかギンのロッカー見て、キレイなのを見たら信じられないですもん。雄星も何もない。信じられない。

 ――そんな光景を毎年見てきた

 栗山:先輩(の移籍)とかは何も思わなかったですけど、後輩のこういうのを見ると…。特に野手の後輩が自ら望んで出て行く形は初めてなんでね。

 ――炭谷は栗山に対して特別な思いがあったようだが

 栗山:らしいですね。お互いに何も言ってないです。それはもうアサも一緒ですけど…涙出ちゃうじゃないですか。そんなん言いだしたら。(FAは)そういうもんだと思っている。

 ――『お世話になりました』もなかった

 栗山:それはあります。それ以上はないです。『頑張れよ』まで。それ以上言いだしたら寂しい気持ちになるでしょう。

 ――そういう方向に持っていかない

 栗山:そこは何か…ケジメをつけるところではないのかなと。改めてそういうことをしちゃうと、ホント寂しいじゃないですか。でも逆に出て行く方が寂しいんじゃないですか? 一人で荷物をまとめて。自分の中に二面、三面ある勝負師としての部分と本音は違うじゃないですか。

 ――そうなんだ

 栗山:だから大人なんですよ、アイツらは。気持ちのどこかで折り合いをつけて…。ボクは出たことがないから。だから頼もしく感じる部分もあるし、寂しいと思う気持ちもある。でも、それがプロ野球の世界なんですよね。

 ひと通り胸の内を語った栗山は、自身の西武17年間を振り返り改めて「本当にこれはタイミングかもしれませんね。ボクは振り返っても出るタイミングがなかったですもん。年度別にずーっと振り返ってみても『ここやったな』と思うところがなかった。だから、いろいろ考えさせられますね」と初めて実感する後輩野手のFA移籍に感傷的になっていた。