台湾プロ野球のラミゴは20日、台湾球界初となるポスティング制度を利用しての海外移籍を目指していた“大王”こと王柏融外野手(25)の優先交渉権を日本ハムが獲得したと発表した。王柏融は一昨年まで2年連続で打率4割を記録した安打製造機。2017年には日本代表との親善試合で楽天・則本から本塁打を放ち、かねて日本球界でも注目されていた。日本ハムの入札金額は明らかになっていない。

 王柏融を巡っては日本の複数球団が興味を示し、シ烈な争奪戦になることも予想された。しかし、所属球団への譲渡金が5億円ともいわれることに加え、台湾球界のレベルを疑問視する向きもあり、獲得に熱心だったとされる西武や巨人も次々と撤退。ふたを開けてみれば、日本ハムが優先交渉権を獲得した。

 まだ入団が決まったわけではないが、日本球界で“大王”は通用するのか? 台湾球界事情に詳しい現地在住の鄭仲嵐記者は「王柏融の長所は冷静なところです。打撃力はもちろん、選球眼もいい」と評価する一方、不安な点を挙げた。「肩がそこまで強くない点です。守備力を必要とされる日本のプロ野球において、これからは、そこをしっかり練習しないといけないと思います」

 それでも、日本ハムが名乗りを上げたのは、プレー以外でも“メリット”があるからだ。かつて在籍した陽岱鋼(現巨人)は台湾の大スターで、現エンゼルスの大谷が所属していたころは鎌ケ谷の二軍施設にまで台湾のファンが訪れたこともあった。

 前出の鄭仲嵐氏によれば、清宮が入団した際には「国内スポーツニュースと同列に大きく扱われた」そうで「日本ハムには若く将来性のある選手が多い。王柏融には陽岱鋼の時のような“台湾効果”を期待しているのではないでしょうか」と付け加えた。

 日本ハムに与えられた王柏融との交渉期間は30日間。北の大地で“大王フィーバー”が起こるか注目だ。