今季最下位の阪神が18日、高知・安芸での秋季キャンプを打ち上げた。チーム再建を託された矢野燿大監督(49)は「90点ぐらい。コーチの人もいろんなアイデアを出してくれたり、選手も皆でこうやっていこうという雰囲気と練習方法でやってこれたのはすごく良かった」と総括。金本前監督体制のスパルタ路線から一転し、選手に「何をすべきか」を考えさせる“野球脳”のレベルアップを目指してきたことにも「浸透している」と手応えは十分だった。

 そんな指揮官は、毎年恒例の「キャンプMVP」に投手陣こそ望月、才木、浜地の若手3選手を挙げ、来春キャンプの一軍入りまで約束したほどだったが、野手についてはナゼか「全員」…。

「絶対聞かれると思って考えてたけど、申し訳ないが、全員だと思っている。来年はどのポジションも誰が出てくるのか楽しみ。短い3週間で結果を求めすぎるのもよくない。やれることをしっかりやっている、と(今は)認めてあげることの方が大事。まだここから続く」などと説明した。

 歴代の監督は毎年MVPに個人名を出してきたが、球団関係者は「全員に期待するのは矢野さんらしいが、個人名を出すと場合によっては選手間で摩擦が起きるとも知っているからだろう」と指摘する。

 特に昨年は金本前監督がMVPの一人に「来年は二皮ぐらい向けそうな気がする」と大山の名を挙げ、年が明けての春季キャンプでは鳥谷と競わせることなく三塁手での優先起用を決定。ところが、その大山は今季開幕から大不振で、他のナインから「監督に気に入ってもらってるからいいよな」などやっかみの声が続出した。

「どうしてもそういう目で見られて大山がかわいそう。余計に打てなくなっていた」(球団関係者)との状態に陥ったこともあり、今回はその反省も踏まえたのだろう。

 選手全員に「自分はできる!」とその気にさせて平等にチャンスを与えるのが矢野流。誰が出てくるか、注目だ。