これ以上の“赤っ恥”は許されない。17年ぶりの最下位に沈んだ阪神が、FA権行使が確実となっているオリックス・西勇輝投手(27)獲りに目の色を変えている。

 今季中から阪神はプロ通算74勝を挙げた西の動向に着目。FA申請手続きが始まった5日、ある球団幹部は本紙の取材に「(西が)宣言となれば獲りにいく必要はある。投手は何人いてもいい。野手と違って若手のチャンスを潰すとかはないから。ウチは今年、チームは最下位で監督が突然交代したり、ドラフトでも評価が芳しくなかった。もう、失敗は許されない。手を挙げる以上、必ず成功しないと…」と“社運”をかけての獲得を目指すと明かした。

 すでにオリックスは今季の年俸から倍増の年俸2億円プラス4年契約を西に提示したとみられるが、阪神も負けじと大型契約を準備。権利行使なら速攻で交渉を行う腹で、場合によっては侍ジャパン時代に選手とコーチの関係だった矢野新監督の直接出馬もあるという。

 失敗できない別の理由もある。西に対する事前調査では「FA権を取る前の段階から西は『早くチームを出たい』『人気球団で投げたい。そこで優勝したい』などと話している」「オリックスは(同じFA権を持つ)T―岡田には熱心な残留要請を行っているが、西とはほとんど話をしてない。他球団への移籍を覚悟した証拠」「西は本塁打が多い東京ドームよりも広い甲子園で投げたがっている」…と阪神にとっては“朗報”ばかり。なおさら「獲れませんでした」では済まないのだ。

 とはいえ、西には巨人など複数球団も関心を寄せているとみられ、争奪戦となる可能性も大。貧乏クジ覚悟でチーム再建を引き受けた矢野新監督のためにも球団は何が何でも西獲得を決めなければならない。