阪神・矢野燿大新監督(49)が18日、大阪市内のホテルで就任会見を行った。「不安や怖さはあるが、決めてからは『よしやるぞ!』の気持ちに向いている。選手に日々メンタル的なことを伝えてきた自分が話をいただいて、逃げるとか、やらない選択をすると、言ってきたことがウソになる」などと所信表明。次期オーナーの藤原崇起電鉄本社会長(66)から「ファンに愛される、新しく強いチームを」とお願いされた新指揮官は球団と3年契約を締結。現状の背番号88で17年ぶりの最下位に沈んだチームの再建を誓った。

 二軍で実行中だった「超積極的」「あきらめない」「誰かを喜ばせる」の“矢野三原則”は継続。期待する選手は「全員だ」と断言し、今オフの大型補強にも「今いる選手をどうするかが僕の大きな仕事」と言い切った。経費節減を理由に補強方針など現場に“丸投げ”傾向にある藤原会長ら本社トップはさぞや矢野発言に大喜びだっただろうが、それだけではない。捕手出身なのに「オレの理想は打って勝つことが一番。その方がファンは喜ぶし、求めている。2003年の優勝の時がそう」と豪語。最後は「3年後に優勝なんてみじんも思ってない。優勝を狙うし、ファンを喜ばせるのは3位でいいことはない。皆が力を出せば優勝は可能。そこがオレの一番の仕事と思っている」と即V宣言まで飛び出した。

 監督要請を受け悩んでいたのがウソのような発言の連続…。だが、さすがに「NG」はある。金本知憲前監督(50)の存在だ。新指揮官は鉄人への思いを聞かれ「大学、タイガースでも一緒にプレー、監督、コーチの間柄でも一緒にやってきた。いろんな思いがある。皆さんに話すよりは自分の胸の内に秘めて戦っていくのが一番。申し訳ないがそうさせてほしい」と異例の懇願。また、来年は金本イズム継続の4年目ではなく「(自分の)1年目」としながら「金本監督とは一緒にこれまでやってきたからあまりしゃべりたくない思いもある。引き継ぐというのも違うし、全然違う、というのも違う。最後は自分らしさを大事に…」と答えるにとどめた。

 球団幹部からは「無念の辞め方をさせられた金本監督を相当気遣っているのだろう。あまり金本のことは聞いてやるな」とこれまた異例の「お願い」が出たほど。鉄人が詰め腹を切らされて、自分が後任監督となった負い目は当然ある。いずれにせよ、矢野新監督の仕事は山積み。やるしかない。